新学期がスタートし,入学式が終わればいよいよ授業が始まります。例年であれば実践の繰り返しの日々が続くのですが,今年は始業式前日に,「休校延長」という発表がなされ,入学式翌日の1日だけとりあえず授業ができることとなりました。大変残念なことですが,とりあえず「授業開き」はできます。その内容は,2年生で積み残してしまった「簡単な分数」の学習です。2年生の担任をしたことがないので逆にやりがいも感じました。かなり前ですが,飛び込み授業で導入場面をやったことがあります。「その時の様子はこちら
 折り紙と同じ大きさの正方形を使います。その中に「水色の模様」を描いたものを何枚か用意しました。
「このカードはくじ引きです。裏に当たり・はずれが書いているのでやってみましょう。」
と言うと,やりたい児童ばかりです。このあたりは3年生の特徴でしょう。一人を指名して引かせると,見事に「当たり」になりました。
 その後4人目までやらせましたが,全員が当たりです。しかもこの段階で,
「先生,もう当たりはないよ。」
等,共通の観点が子どもたちの中にはできているようです。そこでどう考えているかを発表させてみます。
「当たりは,きちんときれいになっているけど,はずれはそうなっていない。」
「当たりははしとはしをつないでいてきれいだけど,はずれはそうじゃない。」
等,「きれい」という言葉を使って説明します。そこで,
「はずれの方だってきれいじゃない。」
と揺さぶります。すると,当たりとはずれのよく似たカードを並べながら,
「こっちの方が青が大きいからはずれ。」
と,中の大きさに目を付けはじめました。しかし斜めになっているものでは小さくなっているものもあります。大きさに目を付けるのはいいのですが,何と何を比べるのかが難しいのです。そのうち一人の児童が,
「きれいに半分になっている。」
という言葉で説明してきました。そこでその意味を確認していく中で,1つのカードの中で,青と白の部分が「同じ」になっていることに気づいていきます。これは2つのカードの「関係」同士を比べているので「割合」の考えで同じことになっています。だから難しいのです。
 ここまでで「二分の一」という言葉や書き方を導入します。そして当たりの模様を実際の折り紙で作ろうとするならば「折る」ことによって作ることができることを押さえました。本来はその作業を全員にやらせたり,折り紙でもっと違う「半分」を見せたりしたいところですが,この日は3時間分を1時間でやる計画です。そこで,
「だったら,このテープも二分の一にできるかな。」
と言うと,簡単にできます。さらに「もう1回折る」とどうなるのかを聞くと,4つになることが確認され,これを「1/4」と表すことも押さえます。これは子どもたちに実際にテープを与えてやらせます。すると勝手に「もう1回」折った児童がいました。元気な児童です。その気持ちを称賛しながら「1/8」という結果になることも押さえることができました。
 ここで「分数」という用語を教えてしまいます。この文章はノートに写させますが,まだ最初なので時間もかかりますし,活動量的にも多くなり過ぎです。加えて子どもたちから,
「これも書くんですか。」
「どこに書くんですか。」
等,これまでの経験が「多くの制約」の中で書かされてきた名残が感じられます。これらはどんどん払拭していかなければなりません。
 ここでさらに欲張りに進めます。デコレーションケーキをみせて,1/2はもちろんや1/3に踏み込みました。旧課程の授業なのでやる必要はないのですが,今年から入ってくる内容なので踏み込んでみました。
 そうすると面白いことが見えてきました。このケーキを「横に3等分」するのは多くの児童が気づきますが,縦に切った児童も出てきたのです。これを見て,賛否が分かれました。しかし一人の児童が,
「イチゴの数が少ないよ。」
という話が出てきて,それを確かめるとみんな納得します。こうして「3つには分かれているけれど,同じになっていないので1/3ではない。」という,見事な「反例」(似て非なるもの)が出て,より深く分数の意味が伝わったように感じました。
 音声言語は沢山出てくる子どもたちです。このまま授業を続けて素晴らしい「算数教室」を展開していきたいのですが,しばらくお休みになってしまうのが残念でたまりません。

 

 

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