学期末の特設授業として,「色紙を折って切る」をやりました。もう過去に何度もやっている内容です。どんな学年でもそれなりに楽しくやれる教材でしょう。
  正方形の色紙を,直角二等辺三角形になるように折っていきます。2回折ったときに,直角の部分を切り落とします。それを広げて元の正方形にするとどんな模様になっているのかを考えます。
 予想させると2つに分かれました。子どもたちが「食パン形」と呼ぶ,元の正方形と同じ向きになるか,ダイヤ形になるかの違いです。図形に対する見方が大きく影響していると思われますが,この2つの意見の違いはそれだけではありませんでした。私は色紙を2回折って,実際に切り離すまでを見せました。それを予想させる間に板書をしたのですが,その板書の直角マークに目を奪われ,ダイヤ形だと思っていた児童が,
「直角マークのように切るのだと思った。それだったら食パン形になる。」
といったのです。実物を切っていたにもかかわらず,板書の記号に惑わされていたわけで,子どもたちへの指示がこれほど難しいものであることを改めて感じました。
 最初の予想はそれほどズレは出ませんでしたが,もう一度折って同じように切ったときの予想はかなり多様に出てきました。模様の現れる場所が「真ん中」「隅」「辺上」「面上」に分かれるなど,場所にズレが生じます。また,できる形も「三角形」「四角形」と分かれています。
 どれも子どもなりの考えがあるようです。考えた理由を少し語らせた後,実際に広げてみると辺上に三角形の形で模様ができました。
 さらに折る回数を増やして考えていきます。今度は「窓」になったと子どもたちが言いました。できた形にネーミングができていきます。さらにもう1回折って結果が分かったとき,一人の児童が,
「先生,ちょっとよく見せてください。」
といいながら,何かを数えはじめました。そして,
「32や。」
といったのです。何が32なのかを聞いてみると,
「最初は正方形で,辺が4本。次は三角形で2×4の8」
と言っているのです。さらにそれを受けて,
「折るから倍々になっていくんや。」
という呟きも別の児童から聞こえてきました。この場面は確かにいろんな気づきが生まれます。私の経験では,「面」と「三角形の数」に気づくことが多いような気がします。一番最初の正方形は,直角二等辺三角形が「2」次は,「4」その次は「8」で同じ「倍々」です。一番最初の正方形を「1」と考えると「2」「4」「8」となるのでどの見方をしても「倍々」です。しかし「辺」は一番気づきにくい所だと思うのでよく見つけたな,と感じました。
 なお,子どもたちは「予想」をするとき,正方形を分解して考えようとしています。小さな直角二等辺三角形を開いていくイメージで考えているようです。このようなことの繰り返しで,図形感覚は少しずつ磨かれていくのかもしれません。
 残り10分の所で,色紙の折り方を変えて考えてみることにしました。最初の形だけを示して後をどんどん考えさせていきます。時間が来たところで3回折りを見せてやります。子どもたちは一喜一憂。さらに4回折りを開こうとしたとき,
「ここから先は,自分でやってみよう。」
と,理科の授業で時々見る番組「考えるカラス」のせりふを言って終了しました。「残心な授業」にして,自主勉にでもやってくれればと思ったのですが,休み時間になったとたん,色紙を持っていた子どもがいて,勝手に先に進めていました。これもまたよい休み時間の風景と言えるでしょう。

 

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