秋の連続研修1日目の2本目は,中学3年生の「相似」です。相似の学習の中で「中点連結の定理」や「平行線と比」を学習しますが,それらがバラバラに指導されていることに問題点を感じ,関連をさせていこうとする実践でした。
三角形の「中点連結の定理」から形を「平行四辺形」や「台形」に「発展」させて向かい合った辺の中点を結んだ直線の長さを考えていきます。
三角形の場合は中点連結の定理で,底辺の半分になります。平行四辺形だと底辺と同じ長さになります。これが台形になるとどうなるのでしょうか。
これがなかなか難しいのです。補助線を引こうとするのは正しい動きだと思いますが,対角線を引いて「中点連結定理2回適用」でできたような気になってしまいます。しかし実際には,対角線と真ん中の線の交点が対角線の中点になっている保証がないのです。これで子どもたちは悩んでいました。私が見ていた生徒は,左右の辺をのばして大きな三角形を作る方法や,一方の辺に平行な辺を引く方法を試しているようでしたがいずれもうまくいきません。他に垂線を下ろした生徒もいたようですがそこから進めないのです。何とか発見してほしい授業者は,
「台形の中に引くと中点にならないね。」
と,さりげなくヒントを出すのですが,子どもたちから別の発想が出てきませんでした。業を煮やした授業者は仕方なく,
「ここを結んでみるとどうだろう。」
と,正解の補助線を示しました。これを引いてしまえば,三角形の合同を利用して証明することはそんなに難しいことではありません。しかしやはりこれを生徒に発見してもらいたかったようで,授業後も反省されていました。
この授業を見ていると,いろいろと出てくる補助線は,小学校の「台形の面積」の時に出てくる等積変形のアイデアになっています。私が昔KD研で発表した「倍積変形の半分」と同じことになっています。「その様子はこちら」
後の研究会では,大学や中学の「数学の先生」から厳しい意見が出されていました。この問題の証明方法はいくつかあります。例えば「回転移動」を使えばもっと分かりやすく説明できます。それなのに授業者が「この証明しかない」と限定してしまっているからその発想が出てこない,等というのはかなり厳しい意見でしょう。そんな中私の拙い数学力を駆使して,次のような提案をしてみました。
多くの生徒が,何となく結論は「上底と下底の和の半分」ということに気づいていました。ならば「もしその結論が正しいとすると」と考え,「上底と下底の和」を右のように具体的に見せてやり,
「この長さの半分になりそうだねえ。」
等と促言を出せば,目的の補助線が生徒から出るような気がしたのです。
このアイデアは,多くの方に賛同をいただきました。「結論から逆向きに考える」という「Undo」の活動となり,数学的にも価値の高い方法だと思います。
久しぶりに数学を考える場となり楽しい時間を過ごすことができました。小学校の指導内容との共通点もたくさん感じることができます。関係された全ての方々に感謝したいと思います。