乗除の概算に進めます。問題を視写し,「正しい式」を考えます。単純なかけ算場面なのでそう問題はありません。式ができた後,
「今日はこれを概算でやります。」
と言いました。加減の場合は暗算力に応じて概数にしてやってきました。今回はどんな式にして考えるかを尋ねてみます。最初に出てきたのは,
「200×584」
でした。どちらか一方だけ「上から1桁」にすればできるだろう,という発想です。これで計算してみるのですが,なかなか正しい答えにはなりません。もちろん1桁をかけるので暗算でできるものもいますが,多数というわけにはいきません。次は,
「200×600」
です。これなら簡単に計算できます。0の処理については確認しておきます。もう一つ,
「220×580」
も出てきて,できそうだというのですが,実際にはこれを暗算でするのは至難の業です。
 これで
「かけ算の概算は,どちらも上から1桁にする」
と言うことが一般化されました。実際には「上から2桁×上から1桁」程度であればできる児童もいるのでそれも触れておきたかったのですが,子どもから出てこなかったのでそのままにしました。概算のことは日常用語としては「見積もり」の方がよく使われるので指導もしておきます。
 教科書の練習題をした後,「割り算」にも進めます。問題場面を見せるのですが,これは簡単には立式できません。概算の授業ですが,実際にはこの演算決定が一番難しい部分になっています。
 さて,ここでも概算としては「上から1桁」同士にしてしまえば簡単なように感じます。しかしここは意図的に数字を操作していて(教科書はそうなっていない),きちんと割り切れなくなり処理に困ってしまう状況ができます。そんなとき割られる数を「上から2桁」にしてみると,今度は簡単に計算できることが分かりました。このことから,割り算の場合は「割られる数は上から2桁,割る数は上から1桁」にすることを強引に押さえました。これは数字による「誤魔化し」です。本当の理由は「九九適用のかけ算の逆」が一番簡単な割り算になるからですが,それは後から付け足しで指導しておきました。
 ここでも教科書の適用題を使って練習しますが,問題によっては上から2桁にしても「余り」が出てしまいます。子どもたちは処理に困っていましたが,その「困り」を感じさせた上で,
「今,大体のことを考えてるんだよ。そんなに厳密にやらず,商を立てたとこでいいよ。」
と説明し,
「65000÷900=70」
という処理でよいことを告げて終了しました。2時間分進めてしまっています。

 

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