先週の木曜日に某郡の算数授業研究会に招かれて参加してきました。もう5年ほど続けて参加しているのですが,毎年熱心に取り組まれていて頭が下がる思いです。
 授業は2年生の「かけ算(1)」で,5,2,3,4の段の九九を学習した後,絵を見てかけ算の問題を作る場面です。左に挿絵が入っていますがこの絵は教科書通りです。ただし教科書では「問題を作る」活動になっているのですが,この日は「かけ算を見つけてその理由を説明する」と活動を工夫されています。
 子どもたちには「ワークシート」が配られました。右のものは,授業者が示した「サンプル」です。同じようなことを子どもたちにやってもらうために見せたのですが,このときどんなものを見せるかは授業に大きな影響を与えます。
 自力解決の時間が10分ほど取られました。大人から見るとこの絵からかけ算を見つけるのは簡単なことのように感じますが,子どもたちにとっては大変難しい作業だったようです。まず「式が逆」になっている児童がたくさんいます。授業者や参会者はこの点をとても気にされていたのですが,私は「これは何年生になってもあることだからこの段階でそれほど気にすることはない。」ということは述べておきました。また全く的はずれなもの「4×1 花瓶が4つと写真が1つ」等です。子どもたちは,自分が作りたい式を適当に決めて,その数字になっている「もの」を見つけているのでしょうか。
 参会者にも指摘されていましたが,「全体の数」という意識が薄かったことが影響しているのかもしれません。「問題」になっていない点もそれに拍車をかけているような気がします。私はワークシートに「何について考えようとしているのかを書く欄を作るとよい」と指摘させてもらいました。
 さらに先生が示した「例」は,
「1人にうで2本」
「3人の子どもがいるから」
と,一行目に「1」あたりを表す「1」が入っているように示し,行を変えてかける数を説明するようにするべきだったと感じました。
 なお,後の研究会で,
「人間の腕を話題にしていいのか。」
という指摘がありました。人権教育の観点からとても大切なことです。授業者の方も,この絵の中で実際に腕が2本見えているから例示したようで,見えていない「目」や「耳」などには配慮していたようです。授業の最後に身の回りからかけ算を見つけるとき,掲示の中に「トンボが4匹」飛んでいることを見つけて,目の数や羽の数が話題になりました。このように昆虫等にして配慮しながら,「かける数はトンボの数4」と固定して「かけられる数が,目の2や羽の4」に変わる場面を見せることは,かけ算の意味を捉えさせる上でも大切なことだと思います。
 さらに,教科書の挿絵ですが,「かけ算しかない」のが気になりました。かけ算を見つけさせたいときには,かけ算にはならないものも同時に見せたいものです。子どもたちはトランプを5枚ずつ持っていますが,中央の男の子を6枚,右の女の子を4枚にすると,かけ算は使えません。しかしこの後右の女の子が男の子からカードを引けば5枚ずつになってかけ算が使えます。こんなしかけも可能です。
 花瓶に入っている花も,大きな花をもう1本増やせば,「全部の数を求めるなら3×4」「大きな花だけを求めるなら2×4」とかける数を固定して考えられます。さらに小さな花の数に言及すると,普通は単に4本となりますが,先の式と形式をそろえるには「1×4」と表すアイデアも自然にできます。
 このように無限の可能性のある授業でした。元気いっぱいの子どもたちを支えている,さらに元気いっぱいの先生の姿が素晴らしいと感じました。自校の研修を抜けての会でしたが,とても気持ちのいい半日となりました。

 

 

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