県算数部会が作っている「ワークブック」は,若い事務局の先生方が中心になっていろいろな改革をしてくれています。そのうちの一つとして,
「ワークの最後のページに,おもしろ問題を入れる」
というアイデアを出し,自分たちで作って出題するようになりました。
5年生の問題は左のものです。「入れ子算」という古典算の一つです。小さい鍋が順に少し大きな鍋に入っていくのですが,このとき値段も300円ずつ高くなる,という設定にしています。この5つの鍋を全部買うと8000円だそうで,このときの一番小さい鍋の値段を考える問題です。朱書きにしているのは,この問題を解くための「解答例」ですが,実際の子どもたちはどのような解決をしてくるでしょうか。
解答例に最も近い方法をしているのはこの児童でしょうか。一番小さいものを「?」として,後の値段を考えています。かなり苦労している様子もうかがえます。このような「苦労」がこの問題の魅力なので,考えている間どのような気持ちで取り組んでいたのでしょうか。ただ,この「模範解答」に近い方法をしていたのはわずか一人だけでした。
最も多くの児童がやっていたのが左の方法です。8000円を5で割ると,一つ平均の値段が出てきます。これがちょうど3番目の鍋の代金になっているのです。模範解答の線分図を見ると,この考え方の意味が分かるでしょう。「均す」ことで見つけられるのが見えます。この方法は,平均の学習の「振り返り」となっているので5年生に相応しい内容と言えるでしょう。もしこれを避けたいのであれば,鍋の数を変える必要があります。
右のような方法もありました。表を使っていますが,思考としては「もし300円だとしたら…」
と考えています。そう考えると3500円不足するので1つ平均700円を足してやるとそれぞれ求めることができます。「試行錯誤」という素晴らしい発想で取り組んだことになっています。

というアイデアを出し,自分たちで作って出題するようになりました。
5年生の問題は左のものです。「入れ子算」という古典算の一つです。小さい鍋が順に少し大きな鍋に入っていくのですが,このとき値段も300円ずつ高くなる,という設定にしています。この5つの鍋を全部買うと8000円だそうで,このときの一番小さい鍋の値段を考える問題です。朱書きにしているのは,この問題を解くための「解答例」ですが,実際の子どもたちはどのような解決をしてくるでしょうか。



と考えています。そう考えると3500円不足するので1つ平均700円を足してやるとそれぞれ求めることができます。「試行錯誤」という素晴らしい発想で取り組んだことになっています。
実は,卒業式直前,6年生の補教に入りました。そのクラスでもワークが課題になっていたのですが,
「地球上に1m浮かせてロープをはると,地球の円周より何m長くなるか。」
という問題に対して,円周率を使ってきっちりと計算し,地球の円周を引く,という方法をする児童ばかりだったのです。その方法でもちろんできますが,若い事務局連中がこのような問題を入れたいと思った理由を考えると,疑問符ができてしまいました。
多様な発想や,模範解答を超える方法が出てくれて初めて「意図」が達成されたと言えるでしょう。このような問題の「解決方法」だけがクローズアップされるなら,古典算の域から何も脱却していないことになります。
「地球上に1m浮かせてロープをはると,地球の円周より何m長くなるか。」
という問題に対して,円周率を使ってきっちりと計算し,地球の円周を引く,という方法をする児童ばかりだったのです。その方法でもちろんできますが,若い事務局連中がこのような問題を入れたいと思った理由を考えると,疑問符ができてしまいました。
多様な発想や,模範解答を超える方法が出てくれて初めて「意図」が達成されたと言えるでしょう。このような問題の「解決方法」だけがクローズアップされるなら,古典算の域から何も脱却していないことになります。