
「向かい合う辺の長さは等しい」
「対角線が真ん中で交わる」
等はそのまま成り立ちます。それに対し,
「向かい合う角の大きさは等しい」
「対角線で分けたときの形」
等は,正方形の所まで戻して「拡張・統合」することで成り立っていきます。
一方,今までには出てきていなかった,
「向かい合う2組の辺が平行」
は,これまでの全ての図形に当てはまっていることを確認します。

「でも,今まで台形の角について調べたことなんかないでしょ。」
と尋ねると,その通りだと言います。そこで,
「一度きちんと調べることにしましょう。」
と述べ,いくつかの台形の角を調べてみることにしました。(ここが自然に進んでいかないのがこの実践の弱点)

「これで気がつくことはありませんか。」
と,直接的な発問を出します。すると,
「隣同士を足したら180度になる。」
という意見が出ます。このことの意味を丁寧に拾い上げていきます。いわゆる「平行線の同側内角の和は180度」という性質のことになります。この気づきを広げておいてから,もう一度台形の測定をさせていきます。そうすると,分度器の使い方の間違いにも気づいてくれます。

こうして,ここまで4種類の四角形の性質を拾い上げ,拡張・統合していった結果,
「隣り合う角の和は180度」
「向かい合う1組の辺は平行」
の2つの性質が共通点として残りました。ここまでに2時間かけています。無駄だと思われる方もたくさんいると思いますが,私は「図形の見方」に触れ,「四角形の内角の和」に自然に目を向けさせるために必要な時間だと思っています。