イメージ 1 リフレッシュ研修後半の2本目は,4年生の「変わり方」です。問題は左のような,「階段状の周りの数」で教科書にもあるメジャー問題ですが,子どもたちはすでに前時に,「明日はこれをやるよ。」と告げられているようなのです。さらに,
「今日は,段の数と周りの長さの関係だ。」
などと,2つの数字間の「関係」があることが前提となっているのです。そのような「めあて」も設定され,見通しも「変化」「○や△の式」と設定される「きれいな」展開で進められました。
イメージ 2 後の研究会で,強く指摘させてもらったのですが,元気いっぱいの子どもたちの声に(例の発表のさせ方が大きい)押されて,立ち止まらなければならない場面を「素通り」していくのです。例えば,「周りの長さ」ということ自体も難しい概念です。この日示されていた「図」は右の上のように「赤い正方形」で3段まであったのですが,私は,下のように「しっかり意味が分かるような提示」が必要だと思いました。
イメージ 3 さらにその後,「4ずつ増えるから」と進められるのですが,実際にその数字になっていることは確かめられないまま「大前提」として進んでいくのです。最初に示された「3段までの図」以外一切図が登場しないのです。さらに「段の数の4倍になっている」という意見が出たときも,あっさり進められようとしていました。
イメージ 4 ところがそのとき一人の児童が,黒板にところに出てきて右のような図を自らかき,4倍になっていることを「説明」したのです。どういう発想で生み出されてきたのかは分かりませんが,とてもよい考え方です。あとの「ねらい」からも絶対に取り上げておくべき考え方です。ただし簡単な考えではないので,このアイデアをこの説明だけで理解できていたのは半数以下のはずです。子どもたちの顔を見ていると,「えっ。どういうこと。」という表情をしている児童がたくさんいます。ところが,
「それをまとめて。」
という大きな声が横から入ってきました。授業者は一応,辺を移動することを「教師が簡単に説明」(教師から提示)したあと,その声の児童を指名し,「段の数×4=周りの数」という見事な式
の方向に進みました。
イメージ 5 そこから先は,ものすごく難しい内容で,普通の学級なら一部の児童しか理解できていないのではないかと思われます。それについてこられる子どもたちは本当に素晴らしいと感じました。
 この日のテーマは「問い」でした。授業の最後には,次の時間に考える「テーブルの数といすの数」の問題が示されました。いつものパターンなのでしょう。しかし「問い」というのは,授業の最初に示される「問題」のことではないでしょう。その問題は「受動的な問題」です。そうではなく,授業の中で生み出された小さな「?」のことが問いであり,この日で言えば
「辺を移動しているけど,何が言いたいの。」
というあの4倍になる説明,が問いそのものではないでしょうか。そんなことを後の研究会で指摘させていただきました。さらに言うべきかどうか迷いましたが,
「あの発表のさせ方は,小さな少数派の問いを埋没させる危険性がある。」
とも指摘させていただきました。
イメージ 6 なお,後の研究会で,助言者の先生に教えていただいたのですが,4倍になることの説明で,階段を大きな正方形に変形することは有名ですが,「4ずつ増える」ことの説明の場合は,右のように変形すれば目に見える,というのは初めて聞き,「なるほど」と思わされました。
 このクラスは前日の道徳に続いての授業でしたが,子どもたちが自分の意見を言いたくて仕方ない,という威勢のよさを感じました。このまま大きくなってほしいと感じました。2時間も見せていただき本当にありがとうございました。