イメージ 1 朝の活動の時間を使って,「紙飛行機の飛行距離」のデータを取りました。単元の最初に行ったときは,1回しか投げられなかったので,何度も投げたい,という思いから10回分のデータを取ることにしました。グループで協力し,体育館を使ってデータ取りをしてあります。
イメージ 2 それを受けて,本時は
「班対抗紙飛行機大会をやろう」
としました。ルールは「各班から代表を1名を決める。」「代表者が1回だけ飛ばす。」「遠くまで飛ばした方が勝ち。」ということです。ポイントは,代表者が1回だけしか投げられない「1回勝負」という点です。そのことを確認し,
「代表者の決め方を考えよう。」
と,本時の本課題を設定し,「モデルデータ」を使って考えていくことにしました。この展開は,先日の「某附属校研修」[]を参考にしています。
イメージ 3 子どもたちに,2人の10回分のデータを見せました。「赤君」と「緑ちゃん」という設定です。データを見た子どもたちには「赤」が人気のようです。そこで自分ならどちらを代表にするか,理由を含めてノートに書かせてみました。赤がほとんどで緑を選んだのは3人だけでした。そこで少数派の緑から説明させます。
「緑は20mを中心にその周りにたくさんあるけど,赤はちらばっている。」
「緑は20mで安定しているけど,赤は11mで安定しているから緑がいい。」
等の意見が発表されました。この「安定」という言葉を学習した言葉に置き換えると「最頻値」ということになります。
 次に「赤君」の意見を聞きます。こちらは「最大値」「最小値」に目をつけていて,理由としては明確です。大多数がこの意見に左右されています。さらに,
「緑は,2mというのが気になる。」
と,一つだけ飛び抜けて低い数値が気になっているようです。大人であればこれを「外れ値」として例外扱いするかもしれませんが,子どもにとっては大切な一データであり,逆に看過できない数字と言えるようです。これを除いて取り扱う発想は子どもからは無理なような感じがしました。
 また,ここで「平均は…」という言葉が出てきました。普通なら真っ先に出そうな言葉ですが,ここまでの学習の流れで後回しになってしまったようです。しかし計算してみると「同じ」になるようで,その他のデータで考えざるを得ないことも分かりました。
イメージ 4 それぞれの意見を聞いて,もう一度立場の判断をさせました。やっぱり赤の方が多いのですが,緑派の児童が,カードの並べ替えを行いました。すると,
「赤は半分の5回が12以下になってしまうのに,緑は半分の5回が16以下なので,緑がいい。」
という意見が出てきました。さらに別の児童が,
「赤は11が一番出る確率が高いけど,緑は20が出る確率が高いから緑がいい。」
と,意見を変える児童が出てきました。ここでもう一度グループで話し合いをさせると,最初とは逆に「緑ちゃん」を押す意見の方が増えていきました。
イメージ 5 子どもたちは,「たった一度」のチャレンジことを意識したとき,動き出すのだということが分かりました。こうしていろんな角度から判断できることが分かりました。
イメージ 5「じゃあ,いろんな見方が分かったね。それらの見方で自分たちの班の人のデータを見直し,代表者を決めましょう。」
と,生データを渡しました。各班とも話し合いがとても活発です。一人の児童が圧倒的にぬきんでているところは仕方ありませんが,安定している人と最大値の大きい児童をどうするかは本当に真剣に話をしています。練り上げでは出てこなかった「中央値」を考えている班もあり,
「統計学習は,子どもをどれだけ本気にさせられるかが勝負」
ということを身をもって感じることができました。