前時にグループごとに,自分たちが必要だと思った方法で「データ」を収集しました。今日はそれを使って,元々課題になっていたことを考えていきます。学校から1240m離れた博物館の見学に行くのに何分かかるかを考えます。最初の班は,
「自分たちの予想時間の平均を取れば,大体正解に近くなるのではないか。」
というアイデアです。4人がそれぞれ「15分,20分,25分,15分」という予想をしていたので,平均すると「約19分」ということになります。人の感覚を甘く見ず,数人の英知を集めれば真実に近づく,という発想です。
次は「歩幅を調べる」というアイデアの班です。しかし昨日の作業中に予定変更して,50mを歩く時間を計っていました。そこで,「どうしてこの班は予定を変更したんだろう。」
と他の班の人たちに投げかけました。出てきた意見は,「歩幅は一歩一歩違うから。」ということでした。すると別の児童が,「それなら平均を使ったら分かるんじゃないの。」といいます。確かに,その通りでその人の1歩は見つけられるはずです。ここでまた別の児童が呟きました。
「で,そのあとどうするの。」
この話がこの授業のポイントです。「歩幅」の話は実際には使えない数字です。しかしそのこと自体に子どもたち自身で気づいてくれなければこの日の授業のねらいには迫れません。子どもたちは具体的なことは分からないのですが,「何となくできそう。」だと感じているのです。そこで,
「平均を取って1歩が60cmになったということで考えてみよう。」
と助言しました。子どもたちから「60×1240」という意見が出ました。しかしこれで出てきた数字が解釈できません。そのうちに,「割ったらいいんじゃないの。」というので,単位を揃えて「124000÷60=2066」という数字が出てきました。すると今度は,
「それは,博物館までの歩数や。」
と解釈可能な数字になっています。子どもたちには明かりが差し込んだような状況に感じています。ところがそこから先へ進むことができないのです。ここまで授業が始まって半分くらいの時間を使っています。ようやく「あきらめ」の雰囲気が流れてきました。そのうち,
「どうやってもあかんのちゃうん。」
が流れてきました。こうしてようやく,
「歩幅はみんなが歩く速さを考えるときに関係のないこと。」
とまとまりました。このような文言は教科書のどこにも見あたりませんが,私にとってはこの言葉を引き出すことこそこの時間の目的だと思っていました。
ここからは,道のりを決めて時間を計った考え方について話し合います。「比例の考え」はそう簡単に広がるものではありません。ここでもかなりの時間を使って求め方をつめていきました。「四マス関係表」を使っている本学級では,この図による説明が決定版となりました。10mでそのやり方を確認すれば,5mや50mでやっている班は同じ方法で解決できます。こうして子どもたちは,自分自身の「博物館までの時間」を知ることができました。
一応,解決に至った方法を見直すことで,「速さは道のりと時間が関係している」というまとめになりましたが,それ以上に大切だったのが「歩幅は関係ない」という反例の方だと思っています。