「体積」の単元に入ります。導入場面は,私の開発した(?)「ふたのない箱」による授業です。ところが,とんでもない失敗をしてしまったのです。
工作用紙で作った長方形を渡します。縦・横の長さがそれぞれ12cm,8cmになっているのを確認した後,四隅を「1cm」「2cm」「4cm」の正方形で切り離し,「ふたのない箱」を作ります。その上で,
「もし,水を入れるとするとどの箱が一番多く入るかな。」
と,問題を設定しました。子どもたちには実物の長方形を見せ,黒板には,画用紙で作った拡大版の展開図を見せています。ここまで全く予定通りです。そして,
「どれが一番入りそうかな。予想してみて。」
と尋ねました。子どもたちからは多様な見方が出てきました。
「1cmのは,広いけど高さが低いので,2cmの方が多い。」
「3cmは高いけど,広さがないから小さい。」
「高いのは狭く,広いのは低く,ちょうど中間の2cmが多いだろう。」
「同じ理由で,3つとも同じじゃないかな。」
と,なかなか鋭い見方でその根拠を話してくれました。機は熟したと判断し,
「では,実際の箱を工作用紙で作って確かめてみよう。」
と,操作に入りました。割と手際よく作った子どもたち。3cmのものが小さくなってしまうのはすぐに見抜きました。その理由として,
「3cmの箱は,2cmの箱の中に入ってしまう。」
と,完全な「直接比較」で解決できました。その結果,「全部同じ」や「3cmが多い」
という説は消え,1cmと2cmの箱の比較に絞られました。ここまでほぼ予定通りです。しかし,ここからこの2つの違いがなかなか見えてこないのです。なにやら「先取り知識」も見受けられます。
「おかしいな。」
と思いながら,図形を眺めていて,愕然としてしまいました。
私は,この2つは,「同じ大きさ」だと思っていたのです。ところがよく見てみると,2cmの箱の方が大きくなっているのです。
「えっ。」
と言いながら,ここでピンと来ました。
「しまった。長方形の大きさを間違えた。」
実は本来わたすべき最初の長方形は「10×8」にしなければいけなかったのです。これだと同じ体積になります。(一番小さい箱は,後の2つの半分にもなっている。)それなのに「12×8」と間違えたので,大きさの差が生じたのです。本来であれば,箱を眺め初めてすぐに,
「あっ,同じだよ。」
という声が挙がるはずなのに出ないのでおかしいなと思っていたのです。何となく一方が大きいのが分かった児童はいるのですが,その理由がなかなか語れないのです。数字など,計算や形式に走ろうとする児童が多くなってしまうのです。それに対し,「同じ大きさ」であれば,自然な形で「同じことの理由が語れる」はずなのです。
一方が大きくなる図形で導入するのは,一般的には自然です。しかしこれだけ「表現」を引き出すことが難しくなることが,失敗によって改めて分かりました。十分な結論が出ないまま,
「次の時間に考えていこうね。」
で終わる,中途半端な時間になってしまいました。

「もし,水を入れるとするとどの箱が一番多く入るかな。」
と,問題を設定しました。子どもたちには実物の長方形を見せ,黒板には,画用紙で作った拡大版の展開図を見せています。ここまで全く予定通りです。そして,

と尋ねました。子どもたちからは多様な見方が出てきました。
「1cmのは,広いけど高さが低いので,2cmの方が多い。」
「3cmは高いけど,広さがないから小さい。」
「高いのは狭く,広いのは低く,ちょうど中間の2cmが多いだろう。」
「同じ理由で,3つとも同じじゃないかな。」
と,なかなか鋭い見方でその根拠を話してくれました。機は熟したと判断し,

と,操作に入りました。割と手際よく作った子どもたち。3cmのものが小さくなってしまうのはすぐに見抜きました。その理由として,
「3cmの箱は,2cmの箱の中に入ってしまう。」
と,完全な「直接比較」で解決できました。その結果,「全部同じ」や「3cmが多い」
という説は消え,1cmと2cmの箱の比較に絞られました。ここまでほぼ予定通りです。しかし,ここからこの2つの違いがなかなか見えてこないのです。なにやら「先取り知識」も見受けられます。
「おかしいな。」
と思いながら,図形を眺めていて,愕然としてしまいました。
私は,この2つは,「同じ大きさ」だと思っていたのです。ところがよく見てみると,2cmの箱の方が大きくなっているのです。
「えっ。」
と言いながら,ここでピンと来ました。
「しまった。長方形の大きさを間違えた。」
実は本来わたすべき最初の長方形は「10×8」にしなければいけなかったのです。これだと同じ体積になります。(一番小さい箱は,後の2つの半分にもなっている。)それなのに「12×8」と間違えたので,大きさの差が生じたのです。本来であれば,箱を眺め初めてすぐに,
「あっ,同じだよ。」
という声が挙がるはずなのに出ないのでおかしいなと思っていたのです。何となく一方が大きいのが分かった児童はいるのですが,その理由がなかなか語れないのです。数字など,計算や形式に走ろうとする児童が多くなってしまうのです。それに対し,「同じ大きさ」であれば,自然な形で「同じことの理由が語れる」はずなのです。
一方が大きくなる図形で導入するのは,一般的には自然です。しかしこれだけ「表現」を引き出すことが難しくなることが,失敗によって改めて分かりました。十分な結論が出ないまま,
「次の時間に考えていこうね。」
で終わる,中途半端な時間になってしまいました。