「初等教育資料」に「歴史に学ぶ算数教育」という特集が組まれていました。それを読んでいるととても懐かしい思いに駆られました。大学3年から始まったゼミは,「数学教育」をテーマにした部屋でした。指導教官は,文部省(当時)の教科調査官をされていて,大学に入ることになった福森信夫先生だったため,講義やゼミでは,「算数・数学教育の歴史」がとてもよく取り上げられていたのです。当時(昭和60年)までは,
戦後の「生活単元学習」
その反省にたった「系統学習」
スブートニックショックから始まった「数学教育の現代化」
現代化の反省からきた「基礎・基本に返れ(Back to basic)」
という「歴史」を学んできました。そのあたりで教職に就いた私は,採用された「平成元年」に告示された,
新しい学力館を目指す「算数のよさ」
生きる力を育む「ゆとり教育」
ゆとり教育の揺り返しである「現行学習指導要領」
へとつながります。自分の生まれる前からの学習指導要領,自分が受けてきた学習指導要領,教員として関わった学習指導要領,といくつかに分けられますが,それぞれにとても意味のある改革・内容であったことを,今回の特集で改めて感じることが出来ました。そこで,今回から少しずつ,過去の学習指導要領の中身を見ていきたいと考えました。
最初は,昭和26年の「生活単元学習」からです。この指導要領は,アメリカの新教育の影響を受け,生活を中心とした単元構成になっているのが特徴です。(今も附属小学校の中には,この流れを汲む学習をしているところは多い。)しかし,戦前よりもレベルが1,2年低く,系統性がなく知識が散漫になる,計算力・思考力が低下するなどの批判が相次いだ学習指導要領でした。しかし一方で,現代にもつながる大切なことも記されています。例えば「計算」という一技能に関しても,
「その計算が必要なわけ」「どうしてそのような方法で計算するか」「その計算がどんな意味を持ち,どのように応用できるか」「その計算の正しさは,どうして確かめることができるか」「その計算にどんな便利なことができるか」
等が列挙されており,単に計算ができればよいのではないことが明確に書かれています。
「読み・書き・算盤」から今の「算数教育」への橋渡しとして,とても明確な主張になっており,運用を間違えなければもっと成果が上がっていたと思われます。もちろん,この時代に学んだ先輩方が,「高度成長」を支えたわけで,尊敬の念を忘れてはならないと思います。私自身は,算数の授業の中に生活を持ち込むことは,あえてする必要はないという立場です。なのでこの学習指導要領に,よいイメージはなかったのですが,歴史を長い目で見た時に一定の役割を果たしていたことを今回の特集で知ることが出来ました。
※ 参考文献 2015 9月号 特集「歴史に学ぶ算数教育」
戦後の「生活単元学習」
その反省にたった「系統学習」
スブートニックショックから始まった「数学教育の現代化」
現代化の反省からきた「基礎・基本に返れ(Back to basic)」
という「歴史」を学んできました。そのあたりで教職に就いた私は,採用された「平成元年」に告示された,
新しい学力館を目指す「算数のよさ」
生きる力を育む「ゆとり教育」
ゆとり教育の揺り返しである「現行学習指導要領」
へとつながります。自分の生まれる前からの学習指導要領,自分が受けてきた学習指導要領,教員として関わった学習指導要領,といくつかに分けられますが,それぞれにとても意味のある改革・内容であったことを,今回の特集で改めて感じることが出来ました。そこで,今回から少しずつ,過去の学習指導要領の中身を見ていきたいと考えました。
最初は,昭和26年の「生活単元学習」からです。この指導要領は,アメリカの新教育の影響を受け,生活を中心とした単元構成になっているのが特徴です。(今も附属小学校の中には,この流れを汲む学習をしているところは多い。)しかし,戦前よりもレベルが1,2年低く,系統性がなく知識が散漫になる,計算力・思考力が低下するなどの批判が相次いだ学習指導要領でした。しかし一方で,現代にもつながる大切なことも記されています。例えば「計算」という一技能に関しても,
「その計算が必要なわけ」「どうしてそのような方法で計算するか」「その計算がどんな意味を持ち,どのように応用できるか」「その計算の正しさは,どうして確かめることができるか」「その計算にどんな便利なことができるか」
等が列挙されており,単に計算ができればよいのではないことが明確に書かれています。
「読み・書き・算盤」から今の「算数教育」への橋渡しとして,とても明確な主張になっており,運用を間違えなければもっと成果が上がっていたと思われます。もちろん,この時代に学んだ先輩方が,「高度成長」を支えたわけで,尊敬の念を忘れてはならないと思います。私自身は,算数の授業の中に生活を持ち込むことは,あえてする必要はないという立場です。なのでこの学習指導要領に,よいイメージはなかったのですが,歴史を長い目で見た時に一定の役割を果たしていたことを今回の特集で知ることが出来ました。
※ 参考文献 2015 9月号 特集「歴史に学ぶ算数教育」