サマー研修5本目は,6年生の「比と比の値」の導入授業です。この場面は,ドレッシングなどを使って(私の実践もそうhttp://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/39477052.html)やることが多いのですが,今回は「くじ引きの当たる確率」を利用して導入しようとする,斬新なアイデアでした。ところが,その学習の中で,数学的な間違いがはっきりしたため,全く違う方向へ進んで行ってしまいました。なので,今回は授業そのものではなく,その「確率ゲーム」についての教材研究をしたいと思います。
その前に,私は今年の初め,ある学校で研究授業を観た時,予定していたこととは違う方向に進んでしまうことがありました。そこで授業者は予定を変更して違う方向へ進めていったのです。そんなことはよくあることですし,方向転換できるのは素晴らしいことだと思います。しかし急遽方向転換したため,数学として決定的に間違っていることを指導してしまったのです。ところがそのときの授業者は,それを認めようとせずあたかも予定通りだったように研究会で語っていたのです。それに対して,今回の授業者は,
「途中で間違いに気づいた。」
と正直に答え,その代案について真剣に述べられていたのです。これはできるようでできないことです。その真摯な姿勢に心の底から敬意を表したいと思いました。
さて,この日のゲームは,
「Aチーム25名,Bチーム15名で,くじ引きをして当たったものの割合が多いチームが勝ち」(はっきりこうは断言していませんでしたが,このゲームのルールを厳密に定めるとこうなるでしょう。)です。この時,人数が違うチーム同士がとる場合,それぞれの「くじの箱」はどのように当たりと外れを入れておかなければならないかを考えるのです。
さて,普通に考えると,「引いたくじを元に戻す」のであればいつも確率は同じなので,当たりと外れが同じ割合で入っている箱で十分でしょう。それに対し,「引いたくじを戻さない」ということにすると,先に引いたものの影響を受けるのでそう簡単にはイメージできません。これは「条件付き確率」なので高等学校数学です。もしきちんと考えると,「結局同じになる」ということが見えるのがこの教材のおもしろさ,と話す方もいらっしゃいました。
そこで,それが本当なのかを探ってみることにしました。数字が大きいと分かりにくいので,左のような単純数字にして試してみます。人数のずれとして最小の2,3人に分けます。中のくじは,3人のチームが全員外れを引くことを考慮して,3本と6本にしました。これでそれぞれの確率を考えていきます。
チームとしてのくじの結果は右の確率になります。それぞれこのような結果がその確率で表れます。これを組み合わせると「Aの勝ち」「Bの勝ち」「引き分け」に分かれますのでそれぞれの確率を計算してみます。
すると左のように,わずかですが,Bチームの勝つ確率の方が高いのです。どうしてこのようなことになるのでしょうか。
実は25人のAチーム,最初の15人目まではBチームと同じ結果になるでしょう。ところが残り10人を考えた時,このくじ引きは「当たりくじの方が外れくじより多い」ために,人数の多いAチームの方が優位に立つのです。もしこれが「外れくじの方が多い」場合は逆の結果になります。ある方が言われた「結局同じになる」は,当たりくじと外れくじが同じ数ずつ入っている場合に成り立つのだと思われます。
翻って,この考え方でいくと「くじを元に戻す」場合にも当てはまるのではないかと計算すると,やはりAチームの方が勝つ確率が高くなることが分かりました。
このように,「確率」には,私たち大人でさえも簡単にイメージできない「魔物」が潜んでいます。小学校では安易に手を出さないほうが無難だと改めて感じました。
このような分析をするきっかけになったのは,斬新なアイデアの授業があったからです。また子どもたちも素直にそのアイデアを生み出していました。関係された全ての方に感謝したいと思います。
その前に,私は今年の初め,ある学校で研究授業を観た時,予定していたこととは違う方向に進んでしまうことがありました。そこで授業者は予定を変更して違う方向へ進めていったのです。そんなことはよくあることですし,方向転換できるのは素晴らしいことだと思います。しかし急遽方向転換したため,数学として決定的に間違っていることを指導してしまったのです。ところがそのときの授業者は,それを認めようとせずあたかも予定通りだったように研究会で語っていたのです。それに対して,今回の授業者は,
「途中で間違いに気づいた。」
と正直に答え,その代案について真剣に述べられていたのです。これはできるようでできないことです。その真摯な姿勢に心の底から敬意を表したいと思いました。
さて,この日のゲームは,
「Aチーム25名,Bチーム15名で,くじ引きをして当たったものの割合が多いチームが勝ち」(はっきりこうは断言していませんでしたが,このゲームのルールを厳密に定めるとこうなるでしょう。)です。この時,人数が違うチーム同士がとる場合,それぞれの「くじの箱」はどのように当たりと外れを入れておかなければならないかを考えるのです。
さて,普通に考えると,「引いたくじを元に戻す」のであればいつも確率は同じなので,当たりと外れが同じ割合で入っている箱で十分でしょう。それに対し,「引いたくじを戻さない」ということにすると,先に引いたものの影響を受けるのでそう簡単にはイメージできません。これは「条件付き確率」なので高等学校数学です。もしきちんと考えると,「結局同じになる」ということが見えるのがこの教材のおもしろさ,と話す方もいらっしゃいました。
そこで,それが本当なのかを探ってみることにしました。数字が大きいと分かりにくいので,左のような単純数字にして試してみます。人数のずれとして最小の2,3人に分けます。中のくじは,3人のチームが全員外れを引くことを考慮して,3本と6本にしました。これでそれぞれの確率を考えていきます。
チームとしてのくじの結果は右の確率になります。それぞれこのような結果がその確率で表れます。これを組み合わせると「Aの勝ち」「Bの勝ち」「引き分け」に分かれますのでそれぞれの確率を計算してみます。
すると左のように,わずかですが,Bチームの勝つ確率の方が高いのです。どうしてこのようなことになるのでしょうか。実は25人のAチーム,最初の15人目まではBチームと同じ結果になるでしょう。ところが残り10人を考えた時,このくじ引きは「当たりくじの方が外れくじより多い」ために,人数の多いAチームの方が優位に立つのです。もしこれが「外れくじの方が多い」場合は逆の結果になります。ある方が言われた「結局同じになる」は,当たりくじと外れくじが同じ数ずつ入っている場合に成り立つのだと思われます。
翻って,この考え方でいくと「くじを元に戻す」場合にも当てはまるのではないかと計算すると,やはりAチームの方が勝つ確率が高くなることが分かりました。
このように,「確率」には,私たち大人でさえも簡単にイメージできない「魔物」が潜んでいます。小学校では安易に手を出さないほうが無難だと改めて感じました。
このような分析をするきっかけになったのは,斬新なアイデアの授業があったからです。また子どもたちも素直にそのアイデアを生み出していました。関係された全ての方に感謝したいと思います。
