一桁をかけるかけ算筆算の学習はほぼ終了しましたので,それを「活用」する授業です。
「5」「6」「7」の3枚のカードを組み合わせて,二桁×一桁の筆算を作ります。最初は私が適当に入れて作り,二つ目は子どもたちに作らせて計算させました。答えを確認した後,
「先生が作った方が答えが大きいねえ。」
と自慢げに言います。そうすれば当然,「もっと大きくなるのが作れるよ。」という声が出てくるので作らせてみます。
すると子どもたちからは,いくつかの計算式が登場しました。どれも「納得」する考え方です。「かけられる数を一番大きく」「かける数を一番大きく」「一の位を一番小さな5にする」などです。それらアイデアの源を確認してから,実際に計算して一番大きくなることを確認しました。
このとき一人の児童が,
「かける数を大きくしたら大きくなるんだ。」
と叫びました。すぐにそれを板書すると,
「理由も分かる。」
と数人が手を挙げます。説明させてみると,
「もし,6と7が反対だったら,5×6と7×7だから,×7の方が大きくなる。」
と,なんとなく本人はイメージできていることを話します。イメージできるている児童には伝わるのですが,そうでない者にはなかなか伝わりません。何人かに説明させましたが,似たようなものです。そこで,
「7,8,9にかえても分かるかな。」
と,問題を転換します。×数を大きくすればよいことをイメージできている者は,適切な数字を選べます。(ほとんどの児童が正解だった。)ここで,
「ではこの2つの計算を,「基本型」で筆算してみよう。」
と投げかけ,その姿が見えたところで,
「どうしてかける数を大きくするといいんだろう。見えてきたかな。」
と発問し,グループ学習の中で,その理由を明らかにしていきました。かけ算は,このように分解して考えると,その仕組みが見えてきます。基本型はいつでも使える状態にしておきたいものです。
授業では,この後,3桁×一桁でも同様に考えた後,計算練習をしました。
「ノートにしゃべろう」は,逆に小さな積になる問題を考えさせ,その理由もかかせます。これをすることで,先の学習の理解度が分かります。正解の「45×3」を見つけられる児童は半数強です。後の児童は,「54×3」のように,かける数は一番小さくしているのですが,かけられる数の方もできるだけ少なくしなければならないことに気づいていません。また理由として,「大きくするときが~だったから,小さくするときも…」という「類推」が働いている書き方をしているかどうかが評価の分かれ目になります。
この授業で「活用」されたのは,「筆算」という技能を前提として,理由「説明」したり,転換された場面を「類推」したりする「数学的な考え方」だと言えます。

「先生が作った方が答えが大きいねえ。」
と自慢げに言います。そうすれば当然,「もっと大きくなるのが作れるよ。」という声が出てくるので作らせてみます。


「かける数を大きくしたら大きくなるんだ。」
と叫びました。すぐにそれを板書すると,
「理由も分かる。」
と数人が手を挙げます。説明させてみると,
「もし,6と7が反対だったら,5×6と7×7だから,×7の方が大きくなる。」
と,なんとなく本人はイメージできていることを話します。イメージできるている児童には伝わるのですが,そうでない者にはなかなか伝わりません。何人かに説明させましたが,似たようなものです。そこで,
「7,8,9にかえても分かるかな。」
と,問題を転換します。×数を大きくすればよいことをイメージできている者は,適切な数字を選べます。(ほとんどの児童が正解だった。)ここで,

と投げかけ,その姿が見えたところで,
「どうしてかける数を大きくするといいんだろう。見えてきたかな。」
と発問し,グループ学習の中で,その理由を明らかにしていきました。かけ算は,このように分解して考えると,その仕組みが見えてきます。基本型はいつでも使える状態にしておきたいものです。
授業では,この後,3桁×一桁でも同様に考えた後,計算練習をしました。

この授業で「活用」されたのは,「筆算」という技能を前提として,理由「説明」したり,転換された場面を「類推」したりする「数学的な考え方」だと言えます。