「何倍でしょう」の単元に入ります。実はこの日,6月に研究授業を見せていただいたhttp://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/37921857.html学校の先生方が6名ほど,そしてそのことを聞きつけた同僚の先生方も参観に来られていました。総勢10名ほどが見守る中で,とんでもない授業をやってしまいました。
イメージ 1 導入問題は左のようなものです。教科書の練習問題の素材を「ケーキからたこ焼き」「3倍から4倍」にかえてみました。これは,たこ焼きはずっと割り算で使い続けてきた素材ですし,数字を変えることで教科書の問題を「適用題」にすることができるからです。結果的にはこれが敗因だったかも知れません。
 問題を導入した後,「すぐにできるかな。」と尋ねてみました。「できる」という絵もあったので,「例えば10個だったら」と尋ね,すぐに予想をノートに書かせました。すると「60個」という反応があちこちで見られます。これを出すのがねらいだったのですぐに取り上げ,本来の問題である「たこ焼き3個」にうつり,「自力解決」に入りました。
イメージ 2 自力解決では左の4種類の解答が見られました。12は勘違いのようですが,15の児童は決してでたらめではありません。
イメージ 3 その子は,右のような図を書いていました。最初に3種類の箱をかき,小の箱に3個,中の箱に6個と正しくたこ焼きを入れました。ところが次の大の箱には「15個」しかかかないのです。そして説明ではしきりに「3倍」という言葉を使うので周りから,「4倍だよ。」と声をかけられ,訳が分からなくなっていきました。
 この児童は,最初6個をかき,それがまず1倍で,残り3倍として,3個を3つかいたようです。私はそのことに気づいていて,「元が違うよ。」というような話になればいいなと思っていたのですが,そこまでいかず引き下がってしまいました。
イメージ 4 次に,割合の和を考えて,6倍として計算する方法が発表されました。この誤りはこの場面では当然出てくる反応ですが,この考えが合っているのか間違っているのかどうかは,結果を見て確かめるしか方法がありません。「それは違うよ。」などの反応は出てきますが,どれも「自分が正しい」という意見であって,このアイデアが間違っていることの説明にはなりづらいのです。
イメージ 5 ここでようやく正解の24の説明に入りました。多くの児童がこれを言いたがっていたのですが,一人の児童を指名して絵を描かせました。その児童のノートは左のようなものでした。この図は,最初の中の箱は「小が2つ分」に描いていますが,残りの3つは「たこ焼き6個入ったただの中の箱」にしています。この絵を描いて説明してくれるものとばかり思っていたのです。ところが実際に黒板にかいた図は,
イメージ 6 右のように,中の箱の絵とは別に大の箱を描いたのです。私の思惑は,ノートの図の中から「8を見つける」活動でした。その図ならば最初の一つだけに「小2つ分」が描かれていますので,残りの3つの中にも同じものを見出してくれると思ったのです。ところが「別の図」をかいたために,1から全て8を見つけなければならなくなり,子どもたちには見にくくなってしまったのです。
 子どもたちはこのアレー図を縦に見て4×8と見たり,8つずつ囲んで8×3と見るなど,本時のねらいと大きくかけ離れた見方しかできなくなってしまったのです。
イメージ 7 その後無理矢理,色チョークを使って,箱の種類を区別して表現させようとしましたが,なかなか難しかったようです。子どもの感想の中に,
「むずかしかったのはいろいろな色でかこんだところです。3は8,6は4,24は1?一体何がなんだか分かりませんでした。」(原文のママ)
と言うのがありました。これなどはきちんと授業の流れをつかんでいながら,意味が分かりにくかったことを示している反応でしょう。
 せっかくたくさんの方が見に来られていたのに,反省ばかりの授業でしたが,それにはやはりきちんと理由があったと思われます。(以下次回)