「あまりのある割り算」単元の終末は,文章題で「あまり・商の処理」が必要な問題を扱います。[]
イメージ 1 左がそのときに示した問題です。計算すると8あまり2となりますが,最後の2人も座らなければなりませんので1を足して9脚が正解となります。しかしそのような処理の経験がない児童は,計算結果をそのまま「8脚」とか「8脚あまり2」などと解答してしまいます。本クラスの子どもたちもご多分に漏れずそのような児童がたくさんいました。そんな中,おもしろい反応をしていた児童を発見しました。
イメージ 2 右の児童も,当初は「8きゃくあまり2」と表していました。しかし絵を描いて考えていく中で,残った2人も椅子に座らせなければならないことに気づき,答えを修正していきました。
 そのとき答えを「9きゃくあまり1」としているのです。この1を見たとき,私は,
「あまりではなく,足らずというよくある考えだな。」
と思って声をかけました。しかしその児童は,
「ううん,あまりだよ。」
と言うのです。続けて
イメージ 3「ここに1席余ってるでしょ。」
と言いました。「なるほど」と感心するしかありませんでした。私たちは「あまり」とか「足らず」と言ったときには,その問題が話題にしている「素材」(この問題なら「人間」のこと。「たこ焼き」や「リンゴ」などにもなる。)そのものを対象にしています。ところがその児童は,「人間」という対象を座らせた結果「座席」という空間が「余った」ととらえているのです。確かに「チケットが余っている」というのは「席が空いている」というのと同義です。
 算数で何気なく使っている言葉ですが,日常生活と分離されてしまっていることも多く,私たち教師は子どもの声を聞いてしっかりとらえてやらなければならないことを改めて痛感させられました。
 蛇足ですが,そのようなことに気づかせられたのは,この児童の「ノート」があったからです。このノートは決して「美しく」ないでしょう。(ごめんね)でも,「消しゴムを使わない」というクラスルールを守り,式や答えだけでなく「図」をしっかりとかいて「?」などの記号を使って表現してくれていたから気づいたのです。「ノートの大切さ」と「どんなノートがすばらしいのか」を考えるよいきっかけになるでしょう。