東京研修最後7本目の授業は,6年生の「速さ」の授業です。左のように,往きと帰りの平均速度が違う場合の全体の平均速度を考える問題です。この問題は,昔からある「クイズ的」「引っかけ問題」として出題されてきました。私も小学校時代,親戚のおじさんに同じような問題を出されて,引っかかった記憶があります。直観的に考えると,往きが6km/hで帰りが4km/hなら,平均5km/hになりそうに感じます。どうしてそうならないのでしょうか。
それは元々の6や4という数字が,「内包量」だからです。これと同じ構造を持った問題として,左のような問題があります。
http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/37347944.htmlこのとき,単純に2つの平均値を足して2で割る,ということが誤りであることはよく知られています。子どもたちがこの問題で単純に足して2で割ってしまうのは,私たちが往復問題に対して勘違いしやすいのと同様なのでしょう。
授業では,最初5kmと言っていた児童が,少しずつ「やっぱり違う。」と言い始め,片道の距離を60kmなどと設定して考え,帰りを平均時速何kmにすればよいかを考えていく展開でした。
子どもたちはよく考えていたと思いますが,後の研究会で,OBの先生から,
「このような引っかけ問題を学校教育の中に取り入れる意味があるのか。」
と言われていたのが印象に残りました。このような問題は,先取り学習の児童に有利に働いたり,解法テクニックに走ったりしがちになるおそれがあるということです。私には結論を出す力がありませんが,子どもたちに与える問題に対して,私たちの教育観を問われているような気がしましたが。
子どもたちは一生懸命アプローチしていてすがすがしい反応ばかりでした。よい問題提起をしてくださって授業者と共に感謝し,東京研修の報告を終わりたいと思います。