二桁の引き算を暗算で計算します。たし算の場合は,後の「二桁で割る割り算」に必要になってくる技能ですが,引き算の場合はそのような場面はほとんどありません。それよりも,数の仕組みを理解するための「暗算」ととらえた方がよいでしょう。
イメージ 1 まず「何十何-何十」と,十の位だけを計算すればできる問題から提示します。すごく簡単にできますし,自然に「上の位」から計算することになっています。さらに,位通し引けてしまう「くり下がりのない引き算」もやります。この場合はどちらの位からやってもよいのですが,前時までの学習が生きているのか,ほとんどの児童が上の位から計算しているようです。やはり「慣れ」というのは大切なことです。
イメージ 2 続いて,「何十-何十何」の引き算です。くり下がりがありますが,一位数がないので「十の補数」を見抜けると速く計算ができます。また途中の式,例えば「60-28」であれば,「40-8」(40は60-20を念頭でやったもの)と,頭の中で思い浮かべる最終計算を引き出しやすくなっています。無意識にやっていることを板書上に浮かび上がらせ,徐々にそれを消していく作業をしているわけです。
 なお,60-28を最初に発表した児童は「48」と答えました。気持ちがよく分かる誤りです。
「この子の気持ち分かるかな。」
という発問に対し,
「足し算でやってしまったんだ。」
という答えが返ってきました。これも子どもらしい発想です。足し算なら88になるはずですが,十の位はちゃんと引き算をした後,「0-8」を8と判断してしまったことを「足し算をした」と表現しているのです。こんなやりとりはほほえましいですし,間違ってしまった子へのフォローとして絶対に必要です。
イメージ 3 さて,そうして最も難しい,2位数-2位数でくり下がりのある計算です。技能的には,全員ができる必要はないと思います。ここでも頭の中でやるべきことを( )で括りながら板書に載せていきます。そして徐々にそれを書かずにやっていくよう促していきます。
イメージ 4 最後は100から2位数を引く暗算です。これは100の補数を考える問題になっており,数感覚的にも大切な計算です。これまで通りきちんと計算している児童と,「補加法的」に考える児童がいるはずです。
 「ノートにしゃべろう」は「足し算と引き算で同じ所は…」に続く言葉を記してもらいました。半数強の児童が,「どちらも上の位から計算する」ということを書いてくれていました。暗算では何よりそれを意識してほしいのです。事実,計算に詰まっていた児童は,こっそり机えで筆算をしていたのですから。