「÷10」の計算を考える時間です。前任校でこの場面が難しいのでどうすればよいか
,を質問された経験がありました。http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/30585767.htmlそれを生かして実践します。
イメージ 1 いつもは「視写」で問題を提示しますが,この日は,
「今日は問題文を書きません。みんなも書かないようにしましょう。その代わり,先生が問題をしゃべるので絵に表してみてください。」
と,絵を描く活動から入りました。私が提示したのは,
「アメが30個あります。このアメを10個ずつ袋に入れます。」
という文です。これに対し,まじめに1個ずつ○をかく児童と,10のまとまりを作った絵を描く児童に分かれました。これは以前に学習したことでもあります。この2つを発表させると,「先生,他にもあるよ。」と言いながら,「5の塊」や「3の塊」をかく児童も出てきました。
イメージ 2 無理矢理2の塊で描く者も出てきます。このような傾向は望ましいことです。30という1つの数を多様にとらえていることになるからです。全て認めながら,
「でも,10個ずつ袋に入れにくいのもあるねえ。」
といって,3の塊は淘汰されていきました。
イメージ 3 この後数字を増やしながら,10の塊で描いた方が分かりやすいことに気づいていきました。
 続いて場面を転換します。同じアメですが「10個で80円」「10個で120円」と設定し,1個の値段を求める問題です。
 実は教科書ではこのタイプの問題で導入しているのです。しかし私はこれでは難しいとイメージ 4判断しました。なぜなら,÷10の計算が「簡単」なのは,十進位取り記数法のためです。ならば元にする数は十進位取り記数法の原理そのものでとらえるのが自然な場面にすべきです。80÷10であれば,まず元の80を「10が8個」とらえるのが便利な設定にすべきです。しかしこの問題の場合,80を8×10ととらえた方が分かりやすくなっています。単価を求める問題(等分除)は,80円を十円玉8つととらえると,一つのアメに対応させることができず,バラの1円玉にしてトランプ配りをしなければならなくなります。そこに難しさがあるのです。(というか,十進位取り記数法の原理が生きない場面になっている)
イメージ 5 私が最初に行った「包含除」であれば,30個のアメを「十が3つ」と十進位取り記数法の原理通りとらえるのが最も楽な方法になっているのです。だからこの展開にしたわけです。
 最後は,×10,÷10などの原理を位取り板を利用してイメージさせていきました。また「ノートにしゃべろう」は「÷100になったらどうなるかな。」というお題で書かせてみました。「0が2つ減る」ということは多くの児童が見つけていますが,その理由でおもしろかったのは,
「100÷100=1になる。だから0が2つ減る」という記述でした。ものすごい特殊な場面からの「類推」ですが,とてもいい考えではないかと感じました。