イメージ 1 大きな数の学習をどんどん進めていきます。まずは千万の位までの数の読み方を復習します。小さなプリントを配り,隣同士で確認をしながら読ませます。最初の3題は私の方で「コンマ」を入れていますが,後の問題は自分で入れるようにしています。
イメージ 2 次は逆に,数の読みを聞いて,数字で書く練習です。個別指導として「位取り表」も用意していたのですが,数人程度が始めに必要だったくらいです。と言うのも,ほとんどの児童が,書くときにも「コンマ」を自発的に使用していたからです。一人の児童が,
「万があるから,そこで分けて書けば簡単だよ。」
と構造を見抜いた説明をしてくれました。4桁ごとに書いていくイメージをまとめておきます。
イメージ 3 ここまでに学習した「位」を教科書にならって一通りまとめておきます。そしてさらに,
「千万も10倍するとどうなるかなあ。」
とたずねます。すぐに「億」という答えが返ってきたのですが,
「そうかなあ。もっと素直な人はどういうだろうねえ。」
と切り返します。何人かが「あっ。」と言いながら手を挙げました。
「万万だ。」
そう,普通に考えれば一万・十万・百万・千万と来れば,その並びに従って「万万」となるはずです。これを聞いた別の児童が,
「だったら,その次は十万万だ。」
と叫びました。素直な反応だと思います。このように,先取り学習に毒されない自由な発想は,子どもたちを喜ばせてくれます。(万万が億,というとらえ方は,4年生でも必要になってくる。)
イメージ 4 もちろん,正しい呼び名は指導しなければなりませんので,ちゃんと教えます。以前に違い「一万までの数」「一億までの数」と,桁数にこだわらず,前の学年で次の位まで進めるようになっているのは,歓迎すべきことでしょう。
イメージ 5 その後は,単位の考えや,特別な数字の書き方(漢数字と算用数字を併用する形)を指導して終了しました。
 この時間で「一億」まで数が広がりました。私たち人間が,一億個のものを実際に数え上げるのは不可能でしょう。おそらく1万個くらいまでが限界でしょう。つまり3年生のこの単元の学習は,「実際に経験できないことを,これまでの経験や仕組みから,こうなっているはずだと考えて,頭の中だけで進めていく」考えと言えます。昭和40年代に活躍され,数学的な考え方の研究の第一人者である原弘道先生は,このような考え方を「先験化の考え」と呼んで,数学的な考え方の一つとしていました。