イメージ 1 三桁同士の足し算筆算で,千の位への繰り上がりがある問題です。復習の後,具体的な問題を提示して解決させます。千の位への繰り上がりは,百が10個集まるからなので,その意味を確認します。ここまで来ると,お金や数え棒などの半具体物も必要ないでしょう。確認した後もう一問練習しておきます。
イメージ 2 さらに0が出てくる筆算へ進みます。この場合の0は,「特殊な0」とは見えませんので,それほど大きな問題にはなりません。(減法と乗除の場合は特殊性が強くなる)2問出題し,子どもに書いてもらいました。どちらもきちんとできています。しかしそれを見ていた児童から,左の方法にクレームが付きました。
「繰り上がりを書いていない。」
というのです。前回に綴りましたが,この書き方は子どもに任せています。必要な児童はかき,必要なければ書かなくてよいというスタンスで進めています。だからその子に責任はないのですが,「書く派」から見ると書かないことが気になるようなのです。
 その指摘を聞いた児童は,
「あっ,そうか。」
と戸惑ってしまい,黒板の前で立ち止まった挙げ句,十の位に繰り上がりを書いて,答えを変えてしまったのです。すぐに新たな指摘が入り,「やっぱりあってたんだ。」と言いながら修正しました。
 これが子どもの姿です。自信たっぷりにやっているように見えて,実は周りの意見に大きく影響されてしまうのです。この児童は,計算練習ではいつも一番にできて自慢げにしていたような子でしたが,それでもこうなってしまうのです。
イメージ 3 さて,計算方法が確立されれば後は練習です。前時同様,繰り上がりの書き方に関しては様々です。一番左の児童は,繰り上がりを全て書いています。全ての位に繰り上がりがあるので1を3回書いています。それに対して右の児童は,最後の千の位については,繰り上がりを書かずに直接答えの所に書いています。もちろんその子に応じてやればいいので「指導」は入れませんが,できるならば書かずに処理してほしいものです。
 筆算の書き方はよく見ていると本当に多様です。繰り上がりの書き方でも,例えば「5+7」であれば,答えの12の順に,「繰り上がりの1を書いて次に答えの2を書く」者と「答えの2を書いて次に繰り上がりの1を書く」者に分かれます。本人のイメージもあるでしょうし,これまでの指導者の方針(そんな大げさではなく,たんなる個人の癖かも)も影響しているのでしょう。
 そんな一人一人の鉛筆の動かし方に注目していると,「筆算もおもしろいなあ。」と少しだけ思えるようになってきました。