三桁の足し算の筆算を学習しましたので、それを少しずつ「型」に分けて広げていきます。この日はまず「復習」から入りました。2問ほど出題し、計算させます。ほとんどの児童がちゃんとできています。そこで私の方でわざと間違えた解答を見せます。そして、
「これってどこが間違ってるのかなあ。」
と尋ねます。上は「繰り上がりを忘れて」いますし、下は「計算間違い」をしています。それを指摘させ、吹き出しに書き込んでいきます。そして、
「このように、筆算をやったとき、もし間違ったらどうして間違ってしまったのかを必ず書き込んでいくようにしましょう。」
と言いました。
筆算は形式に従って手順を進めるだけの「アルゴリズム」です。そこに「思考」は働いていません。なので数学的にはあまり価値があるとは言えません。しかし大きく「教育」という見地から見れば意義を見出すことができます。それは、「途中の過程が見えること」であり、「なぜ間違ったのかを分析することができる」ということです。暗算ではこうはいきません。そんな「教育的価値」を子どもたちにも意識してもらうため、このような習慣づけを行いました。
この時間の本題は「百の位へ繰り上がりがある計算」です。案の定、一人の児童が繰り上がりを忘れていました。2年生までは十の位への繰り上がりしか経験がありませんので、戸惑う児童がいても不思議はないはずです。「吹き出し」を板書して、間違いに注意することを促しました。
その後は教科書の問題を徹底的に練習していきますが、子どもたちの筆算を見ていると本当に多様です。教科書に示されているのは右の上の児童のように、繰り上がりを上につけていく方式だと思います。私たちもそう習いました。しかしそんなことは必要なく、自分で意識して取り組めるのであればわざわざ書く必要はないでしょう。その一方で、下の右児童のように、位ごとの計算をきっちり書いてからそれぞれの場所に書き込んでいかなければできない児童もいます。
筆算は「非形式的な処理」です。一人ひとりの能力(暗算力)に応じてやればいいことで、「こうでなければいけない。」と押しつけるものではありません。一番「思考せずにできる方法」を選べばよいのです。
授業の最後は「ノートにしゃべろう」代わりの「確かめテスト」で終了しました。これは、本時の「技能」の定着を見るために数問出題し、チェックするもので、計算練習の単元でよく利用します。その日のねらいによって学習活動がかわってくるのは当然のことでしょう。