「何十÷何」の割り算に進みます。この計算はイメージで処理できるようになってもらいたいものです。
イメージ 1 問題場面を提示します。ここでも「包含除」から入ります。その方が立式のイメージが持てるからです。ただし答えを出すための操作・絵は地道に全ての数をかき出さなければなりません。面倒ですが,最初の段階ではこの道は通っておかなければならないでしょう。発表させたとき,
「先生,九九にないから悩んでいる人がいる。」
というので聞いてみると,3×9までしかないので,どうしたらよいのか立ち止まっている人がいるというのです。なので前に学習した「3の段は3ずつ増えている」ので3×10=30になることに気づかせていきました。
イメージ 2 続いて場面を「等分除」に変えます。こちらもまずは地道に絵を描かせます。その後4人に分ける絵を描かなければなりませんが,何人かの児童は4ずつ囲んでいます。包含除との場面の違いを理解できる者とできていない者がここで看取れるわけです。きちんと指導した後,
「めんどくさいねえ。何かいい方法はないかなあ。」
と尋ねました。しかし「式を作ってからやる」など,形式的な処理の方に目が向いてしまいました。やむを得ず,
イメージ 3「たこ焼きってこんなバラバラに売ってるかなあ。」
と誘導し,パックになっていることを押さえ,10の塊で考えればよいことを押さえていきます。かなり強引なのですが,塊を作るアイデアを必要とせず答えをイメージできる児童はそのような「表現の工夫」を必要としないため,出てこないのかもしれません。また30個を3人,という分け方は易しすぎるのかもしれません。
イメージ 4 それでこの問題の数を60個と3人に変え,場面と表現のイメージ訓練を行います。10の塊を作る考えは,その表現をいくつかノートにかくことで身に付いていく面も大きいでしょう。子どもたちはこの段階で,「式は分かる」「答えも分かる」「表現が難しい」というイメージで問題に対処しています。
イメージ 5 ここで次の問題に進みます。実はこ問題が「教科書の導入問題」に最も近い問題です。しかしこの問題は子どもにとっては抵抗の大きな問題です。3個買った結果60円だったというのは「逆思考」の考えになっているからです。事実子どもたちからは,
「先生,答えは分かるけど式が分からない。」
という声が沢山出てきました。そこで,チョコレートの絵を3個かき,十円玉を6個見せ,
「じゃあ,どうやって答えを出したの。」
と尋ねます。すると3個のチョコレートの上に10円玉を1個ずつ乗せていってくれました。
「これって,さっきの問題と同じことになってないかな。」
「あっ,そうか。」
すんなりではありませんが何となく納得してくれました。しかしこのあたりで時間切れとなり,少し中途半端なまま終わってしまいました。「技能」だけを求めればこの時間は20分で終わるでしょう。しかし遠い目標の1つとして,「0のついた割り算は筆算でやらない」という私個人の子ども像に向けての1時間だったと思っています。