何倍かを求めるときにわり算が使えることを学びます。この学習はなんということのない学習のようですが,将来「割合」につながるものなので,イメージをしっかり持ちながら進めたいところです。
イメージ 1 まず3人の先生方の名前を示しながら,それぞれが何個かのクッキーを持っている場面を想定します。それぞれの持っているクッキーは,小黒板に○で描いてありますが,フラッシュ的に一瞬しか見せないようにしました。すると,
「先生,もっとゆっくり見せてよ。」
という声が上がりますが,あくまで一瞬しか見せないまま,
イメージ 2「B先生はA先生よりどれだけ多いかなあ。」
と尋ねました。子どもたちは口々に,「3こ多い。」「4こ多い」等といっています。このような問い方をした場合,「差で比べる」のは当然でしょう。5年生の「割合」の単元でも全く同じだと思います。結果を一通り表し,この場合は引き算で考えていることを押さえておきます。
イメージ 3 「こういう場合の別の表し方があるんだよ。」
と言いながら,それぞれのクッキーをきれいに整列した図をみせ,
「こうみると,B先生はA先生の2つ分になってるね。」
と説明すると,一人の児童から,
「2倍だ。」
という声がすぐに上がりました。それを認めていると別の児童から,
「だったらC先生とB先生もできるよ。」
という声が上がりました。同じ2倍になっていることを見抜いたのでしょう。
 こうしてそれぞれの関係を「~倍」で見る比較があることを押さえ,その時にわり算が使えることを確認しました。
イメージ 4 その後,実物の色テープを見せて,連続量を割合で見る見方へ広げていきました。教科書ではいきなりこの連続量から扱われています(しかも発問は「~倍になっていますか。」と直接聞いています。)が,私は分離量である「クッキー」から入り,それを整列させて連続量に近づけるというステップを入れたわけです。
 まだまだ全ての児童にイメージが定着というわけにはいかないようです。補助的に「関係図」を用いて表現させていますが,今後機会があるごとに「~倍」という見方に触れていく「日常経験」が必要だと思われます。