「順々に調べて」の第4時は「フィボナッチ数列」を扱います。これも毎年実践している内容です。
イメージ 1 階段を上ります。このとき「1段ずつ上がる」か「1段飛ばして2段ずつ上がる」の二通りだけを認めることにします。このとき,階段ののぼり方が何通りになるかを考える問題です。最初の例示は3段で行います。このときは3通りです。それぞれの歩き方は「1+1+1」や「1+2」や「2+1」などと「式」で表現していきます。また,発表したとき,最初に「1歩」を選択した児童には,「慎重な人だねえ。」と言い,逆に最初に「2歩」を選んだ人には,「大胆な人だねえ。」などとちゃかしておきます。
イメージ 2 4段が5通りになった後,次の5段を予想させると「7通り」と言います。2ずつ増えているイメージなのでしょう。ところが実際は「8通り」になります。すると「分かった。」という声が挙がります。聞いてみると,「次は12通りだ。」というのです。理由は「2,3と増えたので,次は4増える。」というのです。そこで調べさせてみました。ほとんどの児童が「12通りだ。」と言います。このくらいになってくると全て数え上げるのが大変難しくなっています。「固定して」などとやるのはここでのねらいではありませんので触れないので大変です。1つずつ発表させて,12通り出たところでもう一度眺めさせ,忘れているのぼり方を見つけさせました。全部で13通りが正解です。
イメージ 3 これで3つのデータが集まりました。さらに次の数を予想します。最初の児童は,
「3から5の時は,前の数を2倍して1引いた。次は5を2倍して2引いて8になっている。その次は8を2倍して3引いている。だから13を2倍して4引いたら22になる。」
という意見を出しました。この見方は初めて出てきたものでなかなか鋭い発想です。さらに次の児童は,
「前の2つを足したら次の数になっている。」
と仕組みを見抜いてきました。この段階ではどちらも正しいように見えます。そこで,
「もう少しデータがほしいなあ。こんな時はどうするんだったかな。」
と聞きます。前の「階段の問題」の時に出てきた,小さい時を考えさせます。2段の時は2通り,1段の時は1通りです。この2つのデータを加えて5つを眺めると「21通り」になりそうだということが分かります。ここに来ると1つ1つ書き出していくのは大変ですので私の方で書き出してやり,本当に21通りになっていることを確かめました。
イメージ 4 こうしてこの数字の変化の仕組みが共通理解されました。どうしてそんな変化になるのかは,私の方で板書を利用して説明しました。「始めの第1歩」を「慎重に1歩で行くと1つ前の回数」になり,「大胆に2歩で行くと2つ前の回数」になるということです。
 また,1段の時以前の数字がここまでの理屈に当てはまるようにすると「0,1」がその前につかなければならないことも押さえました。数学では,「形式がそろうように」定義することの素地にもなると考えました。そうしてこれらの数字を「フィボナッチ数」ということを教えました。子どもたちからは「そうだったのか。」という声が挙がります。今年の学級通信の題名http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/36577722.htmlだからです。
イメージ 5 さらに電子黒板を使って,これらのフィボナッチ数列が「ひまわりの種」「パイナップル」「松ぼっくり」などの模様に関係していることを紹介しました。これらの模様には,独特の渦巻きがいくつかの方向に流れていますが,その本数を数えてみると,必ずフィボナッチ数になっているのです。こんな不思議さが数学には潜んでいるのです。