
2011年度に実施されたTIMSSの結果が公表されたようです。TIMSSとは「IEA」と呼ばれる「国際教育到達度評価学会」が行う,数学・理科についての到達度を測る調査(2011国際数学・理科教育動向調査)のことです。よく似た調査に「PISA」というのがありますが,こちらは一般的によく知られているOECD(経済協力開発機構)が行う,知識活用や課題解決能力を測る調査です。(多分に「経済界」で活躍できる人材を測るためという側面が強いように感じます。)2つの調査は近年,必ず結果が報道されるようになっていますが,PISAの方は初めての調査が2000年ですので10年余りの歴史しかありません。私たち教員が「国際学力調査」と言えば,今回のTIMSSの方をイメージすることが多いと思われます。(歳をとっているから?)
蛇足だと思いますが,2000年にPISAの第1回の結果で,世界トップだと思われていた日本が1位ではなく,そのすぐ後に発表されたTIMSSで前回より順位を落としていたことから「学力低下論」がわき起こったのです。得点や参加国数の変化などお構いなしに,順位のみで一喜一憂したのです。


この問題は,幼児や小学生を対象にした「知能検査」のようなものにも見受けられる問題です。経験や想像力はもちろん大切なことだと思いますが,この問題に答えられることが「学力」とつながるのかどうかは疑問が残りました。この問題に答えられるようになるために,算数の授業で何をするか,というのはとても難しいところだと言わざるを得ません。
一方,下の中学の問題は,おそらくねらいはよく似ていると思われますが,単に空間概念だけでなく,どういう置き方をすればよいかを考える際に「約数」「倍数」の考えなども必要になってきます。小学校でも「整数」の単元の活用場面などで使えそうで,良問だと感じました。
問題が玉石混淆なのはどんな調査でも当然だと思いますが,TIMSSの問題は,長い説明を要求したり,長文を読解してからの問題だったりではないようで,子どもにはとっつきやすいかもしれません。とりあえず昨日の新聞からの私の感想の速報を綴らせてもらいました。冬休みにでももう少しじっくりこの調査問題について分析してみたいと思いました。