イメージ 1 「単位量あたり」の単元に入ります。今年の導入はオーソドックスに「部屋の広さと人数」の問題にしました。ただし教科書と全く同じではなく,数字を変えているのと,部屋を1つ増やしているのが工夫です。
 画用紙で部屋を作り,磁石を人間に見立てて置いていくと誰かが,
「あー,この部屋は窮屈そうや。」
と言ったので,早速その言葉を使って「きゅうくつな部屋はどれかな。」と課題設定しました。そして人数か広さのどちらかがそろっている比較を行っておきます。そうしていよいよ人数も広さも違う部屋を比べていきます。
イメージ 2 最初に出てきた反応は「どっちも同じ」という答えでした。その理由を尋ねると,
「どっちも余った畳の数が2枚で同じだから。」
というものです。8割の児童がこれに納得しています。さらに別の児童が,「ほとんど同じことだけど。」と言いながら,
「6÷4=1あまり2」「8÷6=1あまり2」という式を発表してくれました。なるほどあまりの考え方はこの式で表現されています。後で使える発言ですのでしっかり板書しておきます。
イメージ 3 数人の児童は首をひねっています。聞いてみると,
「一人がどのくらいの畳を確保できるか考えたらいいと思う。」
という鋭い発言が出てきました。これに重ねるように,
「あまりにするんじゃなくて,全部公平に分けたらいいと思う。」
という言葉も出てきました。その意味を小集団で考えていきました。
イメージ 4 一人が説明をしてくれました。右のように余った畳を区切り,その一つずつが一人に当たることを説明してくれました。これを聞いた子どもたちから「あーっ。」という感嘆詞が少しですが起こりました。この場面でかなりの児童の考えが動いたのです。しかしまた全部に伝わってはいません。一人に聞いてみると,
「その考えは分かるけど,余りの考えだと同じになるから訳が分からなくなってきた。」
と言うのです。なるほど子どもというのは場面とアイデアをすっきり1つにとらえきれない面があるのだと思います。
イメージ 5 ここでD部屋が登場します。この部屋とCの部屋を比べると同じ4枚が余っています。この比較をみてまた何人かが「あっ,だからだめなんだ。」という呟きを起こしてくれました。しかしここでも,「この2つは同じじゃないのか。」という理解の児童もいます。全体の2割弱です。このくらい「混み具合」のイメージは難しいのです。
イメージ 6 まだまだ単位量あたりを一般化するような段階には進めていません。しかし図の意味についてだけはしっかりイメージを持ってもらいたいものです。そこで先の割り算の式を別の答えに変えていきました。まず割り進んで小数の商を出し,
「Aの部屋が1.5に見えますか。」と尋ねます。うなずく児童が8割。「Bの部屋が1.33に見えますか。」に対しては「何となく。」と答えるなど4割ほどの理解。
 続いて商を分数で表します。「Aの部屋が6/4で3/2で1と1/2ですが見えますか。」に対して8割が納得。「Bの部屋が8/6=4/3=1と1/3に見えますか。」の場面で「おーっ。」という強い感嘆詞。ただし理解は7割ほどか。
 解法の一般化や「単位量」などの言葉も全く出ない1時間でしたが,導入としてはこんなものでしょう。1問やそこらで構造が見抜けるはずがありません。次時以降が大切ですが,式とその解の表現方法によって見えてくるものがある不思議さは味わえたのではないかと思っています。