先日,本校の教頭先生から,
「先生,『計算がはやい』という場合に,どちらの字を使ったらいいんですか。」
と尋ねられました。「早い」と「速い」の違いのことです。辞書的にこの2つの違いを調べてみました。

「速」は「速球・速攻・速刻・速成・速断・快速」などと用いられ,「一定の距離を動くのに(あるいは,一定の行為をするのに)要する時間が少ない」という意味である。また,「速度・時速・風速」などのように,「速さ・スピード」の意でも使われる。したがって,「決断が速い」「呼吸が速い」「球が速い」「車の出足が速い」「流れが速い」などは,「速」を用いる。
これに対して「早」は,「早朝・早暁・早春・早退」などのように「物事を始めたり終わったりする時期や時刻が前である」,あるいは「朝のまだはやいとき」の意で,「時期が早い」「気が早い」「起きるのが早い」,また,「早帰り・早咲き・早死に・早じまい・早出・早手回し・早作り・早寝・早々・早番・早引き」などと用いる。
したがって,「速い電車」といえば,特急などのスピードの出る電車のことであるが,「早い電車」は朝早く出る電車のことである。
また,「早い」は,転じて「物事を急いで行う様子」の意味にも用いられる。「早合点・早のみこみ・手早い」などがそうである。しかし,「物事を急いで行う様子」と「速」の「所用時間が少ない」の意味の違いを判断するのはむずかしく,むしろ,これらは慣用によっているというべきであろう。(「教育出版」ホームページより)

 このことを勘案した上で考えてみると,計算ドリルなどを「はやくやりなさい。」といったときには,習熟をしっかりして,短い時間でやらせようとすることで,「早い」を使うのが適当だと思われます。蛇足ですが,「早く計算」といった場合は上の「早のみこみ」に近い状況になりがちです。この場合の「早のみこみ」は,「意味や目的を考えず機械的に手続きを早くしようとする」という意味で,教育的に価値の少ない作業と言えます。計算は「早さ」より「正確さ」を大切にすべきです。
イメージ 1 一方,「速い計算」というのも存在すると思います。例えば「雁垂法」で行う日本のわり算の筆算には,途中の「2桁×1桁」と「2桁-2桁」の計算を暗算で行う「短除法」と言われる計算が存在します。この計算などは,本人の能力に応じて不必要な部分をわざわざ書くことをせずに「時間的にはやく」計算してしまおうとするので「速く」と表現した方がふさわしいような気がします。
 かけ算の筆算も同様で,一般的には「2桁×1桁」までを部分積として書きますが,本人の能力に応じて「2桁+2桁」の足し算が暗算でできるならばこの程度の計算は「1段」で行うことができます。
 上の2つの例で分かるように,日本の筆算は「2桁×1桁」の暗算ができることを前提にして作られています。しかし個に応じてもっと暗算ができる者には不必要な部分を書かずに計算する「速算」を勧めるべきですし,暗算が不安定な児童には,部分積をもっと書かせる筆算http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/36516059.htmlをやらせなければなりません。こんな計算は「遅算」(こんな言葉は不適切でしょうが)といえるかもしれません。
 繰り返しになりますが,計算の「速い・遅い」は個に応じて対応すればよいことで,それよりも「正確性」を大切にすべきです。決して「早い計算」を目指さないようにしたいものです。