横浜研修では,授業研究だけでなく,「研究発表」や「講演」もありました。今日はそのことについて少し報告したいと思います。
イメージ 1 研究発表は2年生の「かけ算」で筋道を立てて考える指導についての発表でした。研究会要項で17ページにも及ぶ立派な論文なのですが,短い時間でそれら全てに目を通すことはできません。それよりもその日の授業の最終板書が掲載されていました。これをみれば全てが分かるのではないかと思いました。
 L字形に並べられた「アレー図」数える課題です。いろいろな「まとまり」を工夫して作ってかけ算を使って計算しようとする活発な子どもたちの姿が見えてきます。まとまりの作り方で子どもたちから「ずらす」などの呟きがみられたことも想像できます。一方で「無い部分を有ると考えて引く」方法が出ていない点が課題として残っているな,ということも読みとれます。
 このように板書は1時間の授業を全て表すものなのです。私たちは常にそれを意識しながら板書を「創っていく」意識が必要でしょう。それができているすばらしい先生の発表だったと思いました。
 講演では,「数学的な考え方」の第一人者である片桐先生のお話を聞きました。先生は「体系」という話を「合同」を例に説明されました。合同は新学習指導要領で中学校から5年生に下りてきた単元です。しかしその素地は低学年からずっとやっていて,既に子どもたちの中にできている概念であることを強調されました。例えば1年生で色板を並べて形を作ったときでも,「同じ形」であるかどうかが検証されているはずです。
イメージ 2 また3年生で「正三角形」「二等辺三角形」を導入するとき,「円の外側に12個の点を取って三角形を構成する」という手法があります。実は私もいつもこの手法で導入しています。http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/17745952.htmlこのときも必ず「同じ形」が検証されます。このように言葉は知らなくても「概念」は既に経験している。これが「体系」だとおっしゃいました。ある日突然「合同」が話題になるのではなく,ずっと小さいときから経験するように活動していくことが「教材の体系化」の真の意味だということでした。
イメージ 3 ちなみに,先の三角形は全部で12種類の三角形ができます。さらにこの中に「正三角形」「二等辺三角形」「不等辺三角形」がありますので,できた形を分類していけば,三角形の導入になります。右の「数字による分類」は子どもたちから自然な形で出てきます。なぜなら「あれとこれは同じ形だよ。だって辺の長さが…」ということが必ず話題になるからです。合同であることの説明のために辺の長さが話題になり,それによって分類することで新しい概念を形成していく。これも1つの体系といえるのかもしれません。
 たくさん学ぶことのできた1日となりました。関係の先生方に感謝したいと思います。今回の研修で2011年度の全研修が終了しました。計算してみると1年に45本の授業を観たことになりました。のべ45人の先生方に感謝いたします。
 蛇足 横浜の「家系ラーメン」を大変おいしくいただきました。