横浜研修2本目は「新6年生」を対象にした「五進法」に触れさせようとするトピック教材でした。
イメージ 1 左のように「A国では日本と数字の表し方が違います。日本の17はA国ではどう表されるだろう。」という課題で,その秘密を探るために,いくつかの数字を「事例」として提示していきました。
 おもしろいのは日本の数字とA国の数字の間に四角形の形をした「図」があり,それがA国の数字の仕組み(五進法)を表すようになっているのです。これは大変おもしろい手法だと思いました。いきなり五進法といってもなかなか理解できないので,媒介になるものを作ったわけです。
 授業では日本の「2,3,4,5,7」の表し方を眺めて,この数字の仕組みを「帰納的」に考えるという展開にしました。これもおもしろい授業構成だと思いました。数字を全て見せてその仕組みを「見抜く」というのではなく,一部の数字からその仕組みを「想像する」というパターンにしています。おそらくこの方が子どもたちが活動的になると思われます。
 ただ実際の授業では,なかなか難しい面がたくさんみられました。1つは全ての数字が出ていないので,いろんな予想が飛び交うということです。例えば「右下が塗られている」のは「1」を表しているのですが,それを「5」じゃないかと考える児童が出てきました。その児童は「何も塗られていないのが1」と考えているのです。
 もう一つは,媒介として出した「図」があるのですが,「日本の数字と図の関係」と「図とA国の数字」の関係をしゃべるものが混在するので,整理しにくく伝わりにくくなるという点です。
イメージ 2 授業を観ていて私も思いましたし,研究会でも指摘されていたのは,1~4を「位置で表す」のはどうしてなのか。そろばんのように「量的に表す」左の図5や図7の方がよいのではないかということです。この方が「一の位がいっぱいになる」と「次の位」に繰り上がるイメージが強くなります。左の位は「五がいくつ分」というイメージを作るのにも役立ってきます。
 授業は結局最初の課題だった「17をどう表すか」までいけずに終わりました。それでも子どもたちは,何となく全体のきまりが見えてきたようですっきりした表情だったことは間違いないと思われます。すごくおもしろい教材(媒介の図など)だと思いましたし,高学年でも積極的に意見を言い合うすばらしいクラスだったと思いました。授業者の先生と子どもたちに感謝したいと思います。