先日,本校の校内研修で「ICT機器の使い方」を研修しました。主に「デジタル教科書」の使い方を学ぶのが目的です。今年から使っている新しい教科書では,主要教科のものにはデジタル教科書が作られているのです。
 私も「国語」や「社会」のデジタル教科書を使って授業をしています。社会では,教科書の「グラフ」や「表」が拡大できるので,電子黒板を見ながら授業が進められます。国語でも教科書を見ながら「朗読」をしてくれるなど,きめ細かな内容が埋め込まれています。理科専科の先生はほぼ毎時間使っていますので,一昔前とは全く違う授業風景が見られるようになっているのです。
 それに対して「算数」にもデジタル教科書があるのですが,こちらはあまり評判がよくありません。私は授業スタイルが違うので使わないのは当然ですが,他の先生方もほとんど使っていないようなのです。理由は「あまり特別なことができない」からだそうです。「機能が少ない」と言えばよいのでしょうか。
イメージ 1 研修を進めてくださっていた先生は,「算数の中でまだ比較的使える場面」として5年生の「素数」の場面のデジタル教科書を紹介されました。私は素数の導入は「平方数」を利用http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/35771623.htmlしていますが,一般的には左のように,素数ではないものを順に消していく方法がとられます。これは「エラトステネスのふるい」と呼ばれる有名な素数の判別方法です。物事を原理にしたがってしらみつぶしに見つけていく方法で,原始的ですが大切なことです。
 これを採り上げて授業をした隣のクラスの先生が,
「これでも簡単にはできないんですよ。それにあまりおもしろくないしね。」
と言われました。確かに手順に従って数字に○をつけたり消したりすることがおもしろい活動だとは思えません。「しらみつぶし」は全部見つけた後に「不思議なきまり」が見えてきて初めて意味のある活動になると思います。そこで提案したいのは,
イメージ 2「エラトステネスのふるいを6までの数表で行う」
という活動です。まず「1を消します。(ピンク)」
 次に「2を残してその倍数を消していきます。(緑)」ここできまりが見えてきます。2・4・6列目が全て消えます。これは以前にやった「倍数模様作り」http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/35704567.htmlでも見えてきたことです。
 さらに「3を残してその倍数を消します。(青)」すると3列目が消えていきます。これを繰り返していくと素数が見つかるわけですが,1段目にはいろんな素数が登場しますが,2段目以降は1列目と5列目にしか素数が表れないことが分かります。つまり全ての素数は「6n+1」か「6n+5」という式で表される数になることが分かります。(6を法とする剰余系で1か5の時に登場する)
 小学生なのでこれ以上踏み込むことは難しいと思いますが,消していく活動が縦・横に並んだり斜めに進んだりしていくおもしろさは感じられるのではないでしょうか。それにしても「素数」には私のような凡人には理解できないもっともっと不思議な秘密が隠されているように感じます。そのような世界(数論の世界)に魅せられた偉人の方々の業績に畏敬の念を感じずに入られません。