複合図形の体積を求める時間になりました。この場面は何度も授業をしたことがあり,「多様な考え方」を引き出す試みをしてきましたが,昨年から「オーソドックス」な展開になるようにしています。http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/30574525.html
 というのは教科書の問題は「特殊な数値」を設定して,面白い考え方が出るようになっています。もちろんそれはそれで楽しいと思うのですが,そのようなアイデアを楽しむ授業は,「この場面じゃなくてもよい」と思うからです。例えば前時http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/34474342.htmlのようなところで楽しみ,ここでは基本的なことの定着を図る方が得策だと思うからです。
イメージ 1 しかし一応の「しかけ」はしてあります。単純な直方体との比較場面から入ります。実は底面積(複合図形の向きをかえて柱体にしたとき)の差を1平方センチにしているのです。この2つは結果的に10立方センチの差が出ます。この10の意味を問うことで「底面積×高さ」につなげることができるのではないかと考えたのです。
イメージ 2 まず実物を見せてどちらが体積が大きいかを問いました。するとほとんどが「同じ」と答えました。見た目で判断できないのと,今まで私がこのような聞き方をしたときは大体「同じ」であることが多かったのが影響しているのかもしれません。
 さてその後は「自力解決」です。どのくらいできるか,と心配していましたが,今日も8割以上ができています。それよりも「個別指導」が必要だとあらかじめ分かっていた2人には,実物(既に分割ができている図形)を用意していたのですが,これを使っても体積を求めることができません。このような児童にとっては「実物の方が難しい」のです。あらかじめこのような求積をもっとやっておくべきだったと反省させられました。
イメージ 3 練り上げではオーソドックスに3種類の方法を板書させ,それぞれの方法に対応する「模型」を選択させました。模型というのは先の個別指導で利用した立体図形です。一般的な練り上げでは,誰かがそれぞれの解法を説明するのですが,それでは面白くないので「選ぶ」という作業を全員が行えるようにしたのです。

イメージ 4 4番目の方法として「底面積」を利用した児童が数人いました。その児童の式を板書し,「63」の意味を少人数で探りながら(流行の言葉で言えば言語活動)全体に広げていきました。子どもから出てきたのは「上の面積」という言い方でした。また「手前の所」というのもありました。子どもたちはわざわざ立体を立てなくても「手前の面の面積×奥行き」というとらえ方をしているのです。なるほど立体を起こさなければこの考え方が出ないというのは大人の固い頭の発想なのかもしれません。いずれにしてもこの活動のおかげで「10立方センチの差」という「しかけ」は不必要なまま終了です。用意していた展開でも不要ならば捨てる。至極当たり前のことをして終わりました。