前時に扱った「対角線が直交する形」について教材研究してみたいと思います。小学校では「直交」とは言わず「垂直」と言います。これは4年生で「平行」の前に学習する概念・用語です。では教科書ではどのような「垂直」が例示されているでしょうか。
イメージ 1 左のような図が全て出ているわけではありませんが,概ねこのような感じです。①はそれぞれの中点で直交しています。②はそれが左に少しずれ,③ではさらに下にずれています。それでもまだ交わっているので「+」の形が見えています。④では一方の直線の端が片方の線上に来ています。⑤はさらにそれがずれて直線の端同士がつながっています。それでもまだ接しているので「L」の形が見えています。⑥は二本の直線が離れてしまっていますが延長すれば直交しますのでこれも「垂直」です。教科書にもきちんと載っています。
イメージ 2 ではこれらの「垂直」な2直線を対角線に持つ四角形を考えてみると左のようになります。①がひし形で②がたこ形になっています。③は「四角形」としか呼べませんが,対角線が直交しているので「対角線A×対角線B÷2」の公式で求められます。④は対角線そのものが「底辺」と「高さ」になった三角形になり,公式が使えます。⑤になると対角線がいずれも辺になった直角三角形になります。⑥は「ブーメラン形」「凹四角形」とでも言える形で,これも先の公式が適用できることが分かります。
 このように「対角線を動的」にみていくと,いくつかの面積公式がつながっていくことになります。このような見方が数学的なおもしろさといえるでしょう。