友部正人さんのドキュメンタリー映画『遠来〜トモベのコトバ〜』が公開となって、近くの映画館に来ないかな、と思ってたら、静岡の上映は僕がボーッとしてるうちにサッと始まって終わってた。ウソ、終わってんじゃん、と気づいた時はガックリきました。

なので、もし今度近くに来たら行くぞ、と情報をマメにチェックしてきて、ようやく名古屋のシネマスコーレに来ると知り、名古屋ならなんとか、と某日に予定を空けて、映画を観るためだけに早朝から名古屋へ。

せっかく名古屋まで行くんなら遊んでくればいいのに、と連れ合いは言ってくれましたが、時間とお金の節約のため、今回は映画のみに集中。

行きの道中に事故渋滞があったりして、少し遠回りしましたが、なんとか小雨降る中、余裕を持ってシネマスコーレへ到着。
シネマスコーレは名古屋駅の南口からすぐのところにありました。とてもいい雰囲気の建物です。
朝10時20分からの上映でした。50席しかない小さな映画館にお客は15人くらい入ってたかしら。きっと友部正人ファンがほとんどでしょう。

僕が友部正人のライブを頻繁に観るようになった頃、友部さんは一年の半分をニューヨークで過ごす生活をしていて、この映画は友部さんのニューヨークでの日常。撮影時期は今からおよそ10年前、映画監督の伊勢真一さんが映画にするつもりもなく撮ってあったフィルムをまとめたモノとか。

歌ではあんなにも雄弁なのに、友部さんご本人はとても静かな方、という印象があります。トモベのコトバ、という映画のサブタイトルに反して、スクリーンに友部さんの静かな佇まいと寡黙さが際立って映ってました。

特にストーリーも派手な見せ場もあるでなく、まるでホームビデオかのように淡々と、ゆっくりと、映像が流れ、友部さんが動き、奥さまの由美さんが喋り、ニューヨークの街中で歌い、詩の朗読をする。それだけの映画。この淡々とした雰囲気がとても友部さんだなぁと思った。

以前に僕、友部さんと少しだけライブ後にお喋りさせてもらったことがあるけど、友部さんのポツリと呟く一言の言い回しが独特で、このヒトは日常的に詩的な発想をされるんだ、と思ったのを思い出しました。映画ではナレーションという形でコトバが印象的に使われてます。

ニューヨークシティマラソン、高田渡の死、東北の震災、いくつかのトピックを経て、ニューヨークのアパートを引き払うまでの90分間、パーティでおにぎりを握って振る舞う友部さん、マラソン中にウィダーインゼリーを一気に飲み干す友部さん、由美さんの作ったお雑煮を食べる友部さん、などなど、歌っていない時の友部正人の顔がいくつも観れました。

終わった時、ああ映画を観たなー、というより、一風変わった映像記録を観せられた、って気分。これって何を観せられたかったのか、正直よくわかってません。監督の意図を読みきれてないんだと思う。

淡々としつつ、ホームビデオではちょっとやらないであろう演出がさり気なく出てきたりして、興味深く面白いフィルムではありました。なにより、映画館のスクリーンで友部正人が主役でドンと居て、由美さんが隣に元気に居らっしゃった。観れて良かった。機会があればもう一回観たい。次に観たら別の発見があるかも。

帰りに1000円でパンフレットを購入。
パンフレットに監督の伊勢真一と友部さんの対談が載っていて、友部さんが《僕は3回観たけど、3回くらい観ないと伊勢さんの意図がわかんない》と映画の感想がありました。友部さん本人がそう言うのなら、僕が一回観てわかんないのも無理ない。

ちなみにこのパンフレットの巻末には、再録台本、と称して、映画の内容が事細かにすべて載ってます。冒頭から場面ごとのカットの切り替えひとつひとつ、会話のやり取り、ナレーションの文章、使われた音楽の歌詞、すべてが台本として掲載されてる。こんなまるまる内容を載せちゃっていいのかしら、とちょっと思ったけど、どんなシーンがあったか、どこでどんなナレーションが流れたか思い出すのにとても便利です。


帰宅してから、映画の中でしきりに友部さんが手にして読まれてた詩集「バス停に立ち宇宙船を待つ」を取り出してみました。
ニューヨークで書かれた詩を集めた一冊だそうです。
映画で朗読された「八時十五分」「マメナシの花」も良いですが、他の詩も読み応えあります。「七月の木馬」とか「トゥ・シューズをはいた老婆」とか、すごくいい。

友部さんは詩集の他にも著書がたくさんあって、いま手に入らない本も多いけど、ニューヨーク日記「ニューヨークの半熟卵」という本は映画とリンクするかも。めちゃ読み応えあって好き。友部さんの著書はどれもオススメです。

映画を観て、お昼だったので、すぐ帰る前に昼メシだけ名古屋で食べました。
ランチ時間のライスが無料で、お腹いっぱいになりました。

ミュージシャンの映画、というと、忌野清志郎の「愛し合ってるかい」がちょうどいま公開されたと思います。こちらも機会を見つけて観ておきたいです。



余談1。元春の新曲をSpotifyで聴けました。



映像がAIでガッカリ、という人もネットに居たけど、最新テクノロジーは佐野元春は大好きだと思う。これも実験の一歩と思えばいい。このプロモーションフィルムは僕は好きです。ラストでジーンとくる。

肝心の新曲は、悪くない、曲がカッコイイ、ちょっと歌詞が緩い?という第一印象。聴いて一発でドカンとノックアウトされる曲より、ジワジワ好きになる曲の方が息が長いのを僕も経験してますので、「シグナル」がそういう曲だといいなと期待します。


余談2。昨夜帰宅した時、僕んちの月下美人が咲いてたのに気づきました。
この花はとても強い臭いを出すので、咲くとすぐ気づきます。



マシスの歌予定
こちらは投げ銭のフリーなイベントのようなので、自由な時間に遊びに来てもらえたら嬉しいです。僕も楽しみます。



マシス