ほしいものはたくさんあるのー(by矢野顕子)、と思わず歌っちゃうほど、欲しい新譜CDがいっぱいあります。
レモン・ツイッグスが出て、ハリー・スタイルズが出て、どっちも気になる、とフラッとCD屋をのぞけば、そこにサンダーキャットとトム・ミッシュの新譜が並んでて、ああ、これも欲しいぞ、ってなって。
(一番欲しいレモン・ツイッグスと、まさかのハリー・スタイルズの新譜も店頭に置いてなくて、この日は手ぶらで帰宅。そりゃ店でCD買わなくなるわ)
そうこう迷ってるうちに、ポール・マッカートニーの新譜が出てしまった。そのうちローリング・ストーンズも出ちゃう。どうしよう。まぁ、最終的にはきっと全部買うんですけど。
何から買う?何を優先する?と自問して、あらためてCD屋へ出向き、ポールとサンダーキャットを購入したのが2週間前のこと。

以来、この二週間、家ではこの二枚を取っ替え引っ替えヘビーローテーションで聴いてます。

『The Boys of DUNGEON LANE』Paul McCartney。
ダンジョン・レインの少年たち、タイトルがノスタルジックで、2000年代のポールの傑作アルバム『ケイオス〜』『メモリー〜』に通じるテーマを感じます。
前作『マッカートニーⅢ』と前々作『エジプト・ステーション』を踏まえた上での、おそらくマァこんな感じだろうな、という期待のハードルを楽々と越えてきてビックリ。
ポールの新譜だけどコレ大丈夫かなァ、って余計なファン心理の働くこと一切なく、あーポール聴いてるぞーって無条件に楽しんでいられる安心感。ポールを垂れ流しに出来る幸福感よ。
一曲目「アズ・ユー・ライ・ゼア」、いきなりポールの声で《together forever》と歌われるの反則的にヤバい。続く「ロスト・ホライゾン」「デイズ・ウィ・レフト・ビハインド」「リップルズ・イン・ア・ポンド」と並びが抜群にいい。
アルバムより先行して発表された「デイズ・ウィ・レフト・ビハインド」は最初はシンプル過ぎて地味に感じたけど、アルバム通して聴くとウワッて思う。繰り返し聴くほどになんて美しい歌かと震えます。
間奏のピアノのリフが染みること。歌詞も泣かせるじゃないですか。昔の仲間って、やはりビートルズかな。
年齢のこともあるでしょうけど、近年のポールは高らかに朗々と歌うというより、メロディの起伏の少ない曲をサラッと歌ってる印象があって、「デイズ・ウィ・レフト・ビハインド」もそうですが、声に踏ん張りが効かなくても楽に歌える曲、を多く作るようになったと感じます。
そんな近年のポール節がこのアルバムで上手く機能していて、「マウンテン・トップ」や「ウィ・トゥー」みたいな佳曲がすごく冴えて聴こえる。ギター一本で歌う「ダウン・サウス」みたいな地味曲も、流れで聴くとソコソコいいアクセントになっていて、上手いことやったな、と思う。
そうなると、これぞポール!って万人のファンが唸るような美曲って、実はここ数作のアルバムにはあんまりない気がします。このアルバムだと「ライフ・キャン・ビー・ハード」くらいかも。起伏の富んだマイナー調のメロディがいかにもポール、って感じの曲で、これってひょっとして、新曲じゃなくて昔作ったストックの曲じゃないの?、と訝しむほど(違ってたらごめんなさい。でも案外当たってそう)。「ライフ・キャン・ビー・ハード」はお気に入りの人も多いでしょうね。
まぁでも、コーラスのひとつひとつだったり、ウィングスのようにいきなり曲がテンポアップする仕掛けだったり、これぞポール!はアチコチにいっぱい散りばめられてます。
ラストの「ママ・ゲッツ・バイ」も美メロディですが、こちらは近年のポールの作風を感じます。これでアルバムが締められるのは堪んないな。チャーミングなエンディング。80歳を過ぎてこんな素敵なアルバムを作ったポールに心から嬉しく思います。
そして、そんな安心感のポールとうらはらに、かかるたびドキドキするのがこちら。

『DISTRACTED』THUNDERCAT
世界最速、と呼ばれるバカテクの天才ベーシスト、サンダーキャットのことは、アルバム『DRUNK』をジャケット買いして知って、以来ずっと気になってます。サンダーキャットのアルバムは、分かったなんて言えない。理解なんて出来ない。とにかく面白くて聴いちゃう。
再生ボタンを押して、出て来た冒頭の三音《パー、ポー、プー》の不穏な響きにいきなり度肝を抜かれ、あとはずっと度肝を抜かれっぱなし。ほとんど曲間なしにグイグイ音楽が繰り出され、波に飲まれるかに翻弄されます。
とにかく次に来るメロディがまったく読めない。僕の中には全くないメロディが押し寄せて、足場はグラグラ、刺激とワクワクで落ち着いてらんない。このザワザワする感じは何か。
↑穏やかな歌の後ろでベースが大暴れ。
かと思えば、こんなポップな曲も↓
スティーリー・ダンかビージーズか?ってくらいポップ。これ好きだなぁ。
サンダーキャットはベーシストですが、このアルバムではインスト曲なし。ファルセットに近い優しい歌声で全曲歌ってくれてます。ボーカルは決して個性的な声ではないけど、もしインストアルバムだったら僕はたぶんここまで夢中になってない。歌モノのアルバムとして親しめるのが僕としてはラッキー。
相変わらず一曲一曲が短くて、けど、『DRUNK』よりも曲が粒立っててメロディが取っつきやすい。すっごく王道のブラックミュージックのようで、ジャンルがよく分かんない、目まぐるしく移り変わる曲がどれもこれも、どこか妙ちきりんで、でも、やたら美しいの。
少し慣れてくると、このグイグイ来る感じが妙に気持ち良くなってクセになります。ベースラインなんかほとんど聴いてません。曲名もチェックしないし、参加ミュージシャンもゲストの名前も知らない。ただこのCDアルバムを再生して、終わるまで、ノンストップで音楽を浴びるだけ。

店舗特典でもらったサンダーキャット団扇。海外のファンにはレアアイテムになるのかしら。
余談ですが、ずいぶん前に朝の某チビっ子番組にサンダーキャットがいきなり出て来て、おーサンダーキャットだ、とビックリしたことあります。楽器の音で紙相撲するという企画で、サンダーキャットは当然ベース弾いて、その音の響きで土俵を振動させて紙相撲してた(何をやらせてんだ)。こんなことやってくれるんだ、と、微笑ましかったです。
余談2。先日のベスト・ヒットUSAで放送されたストーンズの新曲がなかなか格好良かったので、発売が待ち遠しい。レモン・ツイッグスはネット通販で注文しちゃうか、迷ってます。ハリー・スタイルズも、どうしようかな。
週末です。先週は急なお葬式で休みどころではなかったので、今週末はのんびり好きなことをしたいです。
マシス


