最近はネットの通販でCDを買うことが多いです。正直、地元のCD屋の棚に近年は僕の欲しい商品がぜんぜん並ばないので(佐野元春の新譜ですら発売日に入らない)、お店の棚を見ていてもワクワクしない。自分の欲しいアルバムはネットで取り寄せるしかない状況です。

そうなると、CD屋でたまたま棚を見ていて、お、良さそう、と手に取ったCDを衝動買いする、そういう《未知の音楽との意外な出逢い》の機会が全くない。知れる手段としたらサブスクかYouTubeか。ネット音楽と上手く付き合ってる人はきっと、オススメとかに出てくるのを聴いて、知らないミュージシャンを知れるのでしょうね、今ですと。

先々週、東京に行った際にわざわざ渋谷のタワレコへ寄ったのは、地方のCD屋では今は絶対に叶わない、店頭での出逢いってヤツに期待したからです。あのワクワクを味わいたかった。で、たった1時間ほどの散策で、4枚掴んでた。いや、もっと掴んでたけど、さすがに多いと思って2、3枚は棚に戻した。後悔してます。こういう機会に散財すべきだった。

買った4枚のCDは以下


『失恋と得恋』小西康陽(2024)。これ、素晴らしいです。
ピチカート・ファイヴの小西康陽の、なんと初めてのソロの歌モノアルバム。過去のピチカート・ファイヴのナンバーを自身で歌ってます。アコースティックのバンドで歌われる朴訥とした歌唱が実にいいのです。「私の人生、人生の夏」はピチカートでポップに聴こえてたナンバーだけど、ソロで聴くとこんなにも哀しい内容だったかと気付かされます。


『童謡(わざうた)』山本精一
ボアダムス、羅針盤の山本精一のソロアルバム。帯の本人談《奇しくも私の作品の中で一番ポップなものになった》の一文に買わされました。この人の言葉の言い回しの奥ゆかしいこと。歌い方も淡々と真っすぐで、ウッカリすると聴き逃しそうな美しいフレーズをサラッと吐く。静かな凄みというか、怒らない人が実は一番怖い、って感じがします。

『POV』UTOPIA
トッド・ラングレンのバンド、ユートピアの後期のアルバム。昔、トッドの90年代の日本公演のビデオを観て、そこで歌われた「シークレット・ソサエティ」が欲しくて、ずっと探してたアルバムです。

《僕のこと覚えている?僕たちは秘密結社だった》(「シークレット・ソサエティ」)サビのdon't you remenber me?のフレーズが頭から離れない。トッドは歌詞のフレーズはキャッチーで切なくていいです。

『ファイヴ・リーヴス・レフト』ニック・ドレイク
これこそ衝動買い。ニック・ドレイクは夭折の天才と名前だけ知ってて、アルバムのジャケットも見覚えあった。東京記念の勢いで買って、4枚のうち一番に聴いたのだけど、あれ?ナニコレ?と思った。これ、名盤の評価がある作品だよね?と疑ってしまった。

歌声も曲も音も、何も耳に引っかからないし、頭に残らない。こりゃツマラナイ、外れた、と、他のアルバムを聴いて、おお、他はぜんぶ当たりだ!と、その3枚ばかりを集中して聴き倒して、ほったらかしてたのです。

で、今週は夜勤でしたので、帰って布団に入ってから寝るまでCDをいろいろ聴くのですが、ニック・ドレイクをもう一度かけてみた。やはり、メロディも声も凡庸に聴こえて、ただただ音が流れるだけ、何にも身体に入ってこない。もう、聴き流しながら本を読み始めたのだけど、アルバムが終わって音が消えたら、妙に淋しくなって、もう一度かけた。部屋を暗くして、ニック・ドレイクを流しながら寝て、目が覚めた時にもう一度かけた。

で、じゃあ次のCDを、と他のCDに替えたら、替えたCDがなぜかやたら饒舌に感じて、すぐニック・ドレイクに戻してしまった。相変わらず、どこが良いとも思わない。なのに、なぜか最後まで聴いてしまって、終わるともう一度かけて、なんとなく音と声が部屋に鳴ってる、ってくらいの距離感で聴いてました。

そのうち、お、ギターすげー上手いな、と、曲によって思うようになってきた。

そんな理由で、ニック・ドレイクのこのアルバム、僕は今週毎日聴いてたのです。日に1回どころじゃなく、3〜4回聴いて、ようやく多少は聴き馴染んできたけど、いまだ一緒に口ずさめない。こんなに歌を覚えられないって、過去にないです。どこが良いって説明できないのに聴いてしまってる。

歌声がまずもって凡庸。良く言えば繊細なヴォーカルだけど、なんのスター性も感じない。下手ではないけど特別上手くもない、もし町中で仮に流れてても、ああニック・ドレイクだ、と絶対に気づけない、ブラインドテスト泣かせの没個性な声。

歌詞は英語なのでわからない、メロディもアレンジも全くキャッチーに思えない、ただの素朴なフォークソング。そんな音楽は、普段なら《これはオレには合わない》って聴かなくなるものだけど、なんか、かけちゃう。覚えられないから飽きない、ってのもありそうだけど、ここまでくると、ちょっとデモーニッシュ。

どういうところが名盤なんだろう。外国圏の音楽ファンはニック・ドレイクのどこにハマったのだろう。まだ僕はこの音楽のどこが良いかを全く説明できない。でも、今週、僕はめっちゃ聴いてるのです。

おそらくコレ、カーステで聴くよりも、部屋の小さなコンポで、そこそこの音量でただ流してるのがいい。本を読んでも、お茶を飲んでもいい。うるさくないし、誰の邪魔もしない。けど、音が消えると、無性に淋しくなって、またかけてしまう。なんなんでしょう。ニック・ドレイクの魅力を説明できる方がいたら、どなたか教えてくれないかしら。


明日はフリーダムフォーク集会ですよ。
第199回フリーダムフォーク集会 
 【日時】2025年11月15日(土) 19時半開演 
 【場所】ライブカフェ mamselle 袋井市堀越1802-1 
TEL 0538-42-6440 http://mamselle.sakura.ne.jp/ 
 【料金】music charge 500円 
【出演】 一次会(本編)演奏時間一組20分(転換時間抜き) 
・えみり(初参加)
・ケイヤ
・Autumn Papa
・砂風金

 二次会(飛び入りコーナー)演奏時間一組10分 

本年度ラスト開催となるフリーダムです。一次会の演者にはお久しぶりや初参加の皆さんがエントリーしてくれてます。皆さんよろしくお願いします。二次会飛び入りの参加表明も、すでに何組か頂いております。当日参加もぜひお気楽に遊びに来てくださいね。



マシス