佐野元春の2023年のツアーが終了したので、限定公開にしていた日記のブロックを外します。以下、2023年6月25日の名古屋芸術劇場でのコンサートを観て書いた感想です。


佐野元春の【今、何処】ツアーの名古屋公演に参加して来ました。ああ楽しかった。終わってほしくなかった。期待通り最高にご機嫌なロックンロールショーでした。

ツアー中なので、この日記は友人限定の公開とさせてもらいます。それでもまだ詳しい情報は知りたくない、という人は以下、日記を読まないよう注意してくださいね。


ネタバレではないですがひとつだけ。僕は昨日はゆっくり会場入りしたのですが、開演前の物販の行列が凄いことになっていたので、これから行かれる方で物販を狙ってる方は、時間に余裕を持って行くと良いと思います。

久しぶりの元春ライブ。元春は今年のツアー前にヒザの手術して、ツアーが始まったと思ったらコロナにかかって、元春の調子を心配してましたが、元気そうでしたね。ホッとしました。


静岡から新東名を走って、無事に名古屋到着。事前に調べた安駐車場に車を停めて、コンサートの時間まで街をブラブラ散策しました。名古屋は四、五年ぶりのはずですが、いざ来てみると特に久しぶりって感慨はなく、それこそ浜松に買い物に来たくらいの、よく知ってるご近所に来たような気分でした。

いつも通り、芸術劇場の近くにあるジュンク堂でたくさんの本棚を堪能して(すごく楽しい)、その後はディスクユニオンを訪問。
こちらも名古屋芸術劇場のご近所にあります。たくさんのレコード棚にCD棚を堪能(すごく楽しい)。眼福。
戦利品。総額1280円。名古屋の中古屋に来るたびに双葉双一を見つけてる気がする。こういうのも遠出の楽しみです。

コンビニのサンドイッチで軽くお腹を作って、芸術劇場へ。

上でも書きましたが、僕が入場した時には物販に並ぶ行列が凄いことになってて、階段の上まで伸びた最後列になんとか急いで並び、パンフレットとTシャツを購入(開演10分前)。長い列でしたが回転も早かったので良かったです。

僕の今回の席、3階席の最前線から隠し撮り(スミマセン)。元春のマイクの真正面の位置で嬉しかった。
(ネタバレ防止で写真の上半分切り取ってあります。でも写真撮るのはいけないことです)

定刻の18時を回り、会場暗転(歓声)。アルバム『今、何処』の一曲目を飾る「opening」が厳かに流れる中、バンドメンバー入場(歓声)。そして元春登場(大歓声)。キーボードに着席。

小松シゲルが高らかにタムを叩き、一曲目「さよならメランコリア」。眼の前に地平線が広がってゆくような深沼元昭のギターが唸ります。そして畳み掛けるようにムーグシンセのループ音。背後のスクリーンに宇宙と月が映し出され、曲はもちろん「銀の月」。客席は爆発したかのような盛り上がりです。見下ろした一階席には手拍子を打つ手、手、手!壮観でした。


元春《こんばんは名古屋。今日からツアー再開です!(大歓声)。僕は休んだおかげですっかり元気になりました(歓声)》


新しいアルバムからいっぱい演奏します、のMCより、続く曲は「クロエ」。なんていい歌だろう。背後のスクリーンに流れる歌詞の言葉と相まって、ロマンチックな詩世界を演出していました。

「植民地の夜」「斜陽」「冬の雑踏」と、アルバムの曲順通りにライブが進行して、マァ盛り上がった。『今、何処』の収録曲って強えー!新曲どれもライブ映えスゲーぞ、と感心してました。オイオイ、この流れだと過去のナンバーが入り込む隙がないんじゃないか?他のアルバムの歌もちょっとは聴きたいけどな。


元春《初日からずいぶん経ちました(?笑)初日が三週間前?今日の名古屋、上の方の席からも観てくれて嬉しいです。みんな良い感じ?(歓声)》


最後まで今何処アルバムを通して披露するのか?と思ったところへ、MCを挟んで投入された「ENTERTAINMENT!」。これに、客席は待ってましたとばかりの大盛り上がり。一階席に拍手の手が咲いた咲いた爆発してた。この歌ってこんなにロックだったのかと思いました。

わりと新しめの「ENTERTAINMENT!」もファンに馴染んで、すっかり元春クラシックの風格を帯びてきました。そうなんだ、アルバム『今、何処』と『ENTERTAINMENT!』、この二枚の新作を引っ提げてのツアーじゃん、とここで思い出した。二枚のアルバムの曲は毛色は違えど、ステージの上で調和して当然かも。

ライブで生で聴きたい、と僕が思っていた一曲「新天地」。聴けて嬉しい。この歌の歌詞は聴いてる者をマインドトラベルに誘ってくれます。聴きながらみんな地球の上を一周したに違いない。


《パンデミックに戦争と、大変なことが多いけど、どんな時も、次に歌う歌で歌った気持ちを、心に留めておいて欲しいと思います》


そのようなMCから歌われた「愛が分母」。これもすっかりライブのキラーチューンとして定着してきました。幸せオーラいっぱいの会場が一体となったセイ・イェーの合唱、突き上げられた手が見ていてホント美しかった。

高桑圭のお馴染みのベースラインから「ポーラスタア」。コヨーテナンバーの中でもこの歌は人気が高そう。3階席の僕の周囲が身体を揺らしてノッてました。熱気そのまま間髪入れず「La Vita e Bella」(ああ大好き)、続けて「純恋」(これも大好き)になだれ込む。待て待て、飛ばし過ぎじゃない?と心配してしまうほど、全く出し惜しみなしのアッパーな人気曲を連発です。

暗転し、スライドの鳥の写真が静謐に映し出され、静かなアコギのイントロが流れ、え、まさか、と思ったらやはりこの歌、「詩人の恋」。この歌を演ってくれるとは。コヨーテナンバーのバラードで最高の歌詞の一曲で大好き。スクリーン上に流れゆく歌詞を噛みしめるように観客は聴き入ってました。「詩人の恋」が収録された『Zooey』は震災の影響が少なからず強いアルバムですが、「詩人の恋」は今聴くと今の聴こえ方がしますね。

厳かな雰囲気を破るような激しいベースラインから「エデンの海」。盛り上がるとは思ったけど、やはりこれは盛り上がりますよ。拳を突き上げてくださいと言わんばかりのロックナンバーで、やあ楽しい楽しい。

激しい曲から一転、元春のピアノが静かなイントロが会場に響き、歌い出すは「君の宙」。『今、何処』の中でもとてもスピリチュアルなバラード。激しい曲のあとバラードで、歌い出しの元春の声が少し掠れましたが、かえって真摯なパフォーマンスになってました。

「君の宙」のエンディングと同時に、ムーグのループ音が非常ベルのごとく鳴った!曲は「水のように」。疾走感たっぷりにビートの水流が客席へ雪崩込んで、あれよあれよという間に客席は興奮の拍手の嵐。そしてエンディングの余韻も待たずドラムのビートが響き、「大人のくせに」。コヨーテ達がこの歌をなーんて楽しそうに演奏してることでしょうか。曲としては凡曲かもしれないけど、バンドの演奏で最高のロックナンバーに化けた一曲といえます。アッキーや深沼くんがステージ前に躍り出てのギターソロ。ライブで聴いていて本当に気持ち良かった。

「明日の誓い」の演奏が始まると、ああ終わっちゃう、って思いが強くなりました。アルバムのクロージングナンバーのこの歌、なんとなく淋しくなったけど、でも、これで終わらなかった。本当の本編ラストは「優しい闇」。再び会場が一体となった盛り上がりで本編終了。ここまで約100分間、休憩なしノンストップの素晴らしいロックンロールショーでした。


そしてアンコール。


《みんな、良い感じ?(歓声)。マスクは外しても、、、外したくない人は外さなくていい。このことに関しては、まだ微妙な時期なんだ(笑)。一緒に歌いたい人は歌ってくれていいし、そうでない人は心の中で歌って欲しい。みんな上手いことやって、ぶち上げて行こう!》


アンコール一曲目の「約束の橋」で、ようやく2階席以上の席の人が立ち上がりました。3階席最前列の手すりが低くて、立つとちょっと怖かったけど、やはりロックコンサートは立って参加すると気分が上がりますね。

最後に「アンジェリーナ」をぶちかまして終演。いつだって問答無用のアンジェリーナ。アンジェリーナが最高じゃない日は存在しない。

ステージ前にメンバーが整列しても、アンコールを求める拍手が止みません。客席をなだめるように話し出す、元春のMC。


《僕は今年の半分、ずっと休んでいた。テレビを観たり、本を読んだり、ゲームをしたりと、まるで夏休みの子供のような生活を送っていたんだ(笑)。(中略)ツアーが始まって、こうして今日、名古屋でコンサートが出来たことを、本当に、本当に、本当に!嬉しく思っている(歓声)。この気持ちを持って、これから全国を回って来ます》


二度目のアンコールなし。19時50分終演。


僕は今回のライブ、事前に全く初日セットリストの予備知識を調べずに(ネット検索を我慢して)、マッサラの気持ちで挑ませてもらいました。終わってからようやく初日のセットリスト見たんですけど、アンコールが初日は名古屋より2曲多かったみたい。羨ましい。けど、名古屋だって最高でしたよ。初日にないアンジェリーナ演ってくれたしね。

ただ一つ悔しいのは、僕がアルバム『今、何処』で大好きな「永遠のコメディ」が演奏されなかったこと。あの歌をライブで聴けたら最高だったろうな。セットリストに入れるとしたら「詩人の恋」の代わりに入れるとか、うーん両方は難しいか。


退場時に、僕の前を歩く男性ファン二人組が

《「サムディ」なんで演らなかったんだろう?あれ一番売れた曲でしょ(注:)。永ちゃんが「止まらないHa〜ha」演らなようなものでしょ》

と話してるのを耳にしました。うーん、そう思う人もいますよね。

で、その3分後、会場の外でやはり僕の前を歩く別のファン(女性)が、

《元春は進化してるってことよ。今日は古い歌をほとんど演奏しなかったでしょう。元春は今も新しいことをやって自分を進化させてるの》

と語ってるのが聞こえてきて、おお、ナイスタイミング、出来すぎなくらい両極端な感想を続けて聞いたぞ、と思いました。これ、作ってないですよ、ホントの話。

帰りの新東名のサービスエリアで一人、久々の打ち上げラーメン食べました。で、そこで今回のツアーパンフレットを出して読んでたのですけど、パンフレットの紙の質がペラペラで、袋から取り出した時点ですでに破けかけてた。えーっと思いました。内容がいいいのに、ちょっとこれは残念。最近のツアーパンフレットってそうなのかしら。せめて表紙くらいもっと丈夫な紙に変えて欲しいですよ。

元春の今、何処ツアー、幸いにも僕はまだこれで終わりじゃない。2週間前後に静岡市民文化会館で再び観れます。静岡は一階席だ。オールスタンディングで挑みますよ。


2023年6月25日(日)名古屋芸術劇場
00 opening
01 さよならメランコリア
02 銀の月
03 クロエ
04 植民地の夜
05 斜陽
06 冬の雑踏
07 ENTERTAINMENT!
08 新天地
09 愛が分母
10 ポーラスタア
11 La Vita a Bella
12 純恋
13 詩人の恋
14 エデンの海
15 君の宙
16 水のように
17 大人のくせに
18 明日への誓い
19 優しい闇

encore

20 約束の橋
21 アンジェリーナ



マシス



 (注:)「サムディ」が一番売れたシングルというのは間違い(オリコンチャート最高位84位)。元春の一番売れたシングル曲はもちろん「約束の橋」(ドラマ主題歌ヴァージョン)。《佐野元春といえば「サムディ」》というくらい元春の代名詞と呼ばれる人気曲なのは間違いありません。


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