当時16ミリフィルムで撮影されたという映像を丁寧に修復して、4Kデジタルにフィルムを一コマずつ撮影し直すという、気が遠くなるような作業をしたとのことです、が、それでも夜の映像は画素数の粗さがやや気にはなったかな。でも、これは元のフィルムの当時の限界なのでしょうね。昼のライブ映像が少ない、とのネット意見を読みましたが、そこは僕も同感。
あの曲を入れて欲しかった、ってのは言えばきりが無い。どの曲もフルコーラスで流れますから、2時間の映画に入る曲は限られてます。それでもせめて上映時間を15分伸ばしてあと3曲、と思っちゃう。あと3曲だったら何を入れる?僕の希望だったら、日中の演奏から「バックシート・ラブ」、からの「ラストショー」、そして夕方の「二人の夏」は映画で観てみたかった。
個人的には「ラストショー」が一番スクリーンで観たかった。レコード通りのオリジナルアレンジの「ラストショー」を生で聴けたのって、僕はこの渚園の時が最初で最後です。
渚園の直前の省吾の全国ツアー、アンコールが「ラストショー」だったんですよね。そのツアーはチケット取れなかったので羨ましかった。渚園で聴けた時の嬉しさはひとしおでした。
他に昼の演奏ですと、ゲストの中村あゆみのことを言ってる人はいます。
《ガールフレンドと呼ぶには、ちょっと歳の離れてる(笑)、、、ミス・ロックンローラー!中村あゆみ!》
という省吾の紹介で登場したのを覚えてます。二人で歌ったのは「街角の天使」と「HOT SUMMER NIGHT」、それと「what's the matter baby」だったか。演奏の出来はマァ即席にしては、って当時の印象。でもひょっとしたら、映像作品として今観たら、ひょっとして記憶してる演奏よりも良かったかも知れません。
今回の映画で一番僕が確認したかったのは、「僕と彼女と週末に」で登場した巨大オブジェです。実際に観た時はそれなりにガーンときました。歌では何を問題にしているかの対象をハッキリと言及していないけど、あの演出見ちゃうと、ああやはりそういうことなのか、と思っちゃいますね。今の省吾だったらあの演出はやらないかも知れません。
「OCEAN BEAUTY」から「マイ・ホームタウン」そして「僕と彼女と週末に」はこの夜のハイライトだったと思います。特に「マイ・ホームタウン」の鬼気迫る演奏は、今の目で観てもすこぶるカッコ良い。
叶うなら「BLOOD LINE」もスクリーンで観たかったですね。渚園で実際に聴いた時は、うーんライブだとこんなものかと思ったけど、後に出たBlu-ray『僕と彼女と週末に』に収録されたのを観て、その格好良さに仰け反ったので。個人的には「J-BOY」よりも「BLOOD LINE」の方が映画映えしたんじゃないかって気がします。(浜省の人気曲「J-BOY」に関しては渚園のテイクは決して最上の出来じゃないと思う。最近のライブのアレンジ、演奏の方が遥かに格好良いです)
とても楽しい映画の時間でした。会場を埋め尽くした観客の映像を観て、あの中の豆粒の中の一人として、自分はあそこに居たんだ、とシミジミしました。弁天島の駅からテクテクと人並みを歩いたあの夏の日が、帰りの臨時電車を延々と待っていた情景が、脳裏にまざまざと蘇ってきました。
(追記。蘇った記憶の一つ。渚園では当日30曲演奏してましたけど、進行が押したせいで2〜3曲ほど演奏出来なかったらしい、と聞いて、後日友人と、何がカットされたんだろうねーと想像逞しく盛り上がったのでした)
映画の若い頃の溌剌とした省吾は文句なしに格好良い。けど、これはもう過ぎ去ったこと、昔の記録だよな、と映画観ていて思いました。省吾はまだ《あの頃は良かった》の枠に入れちゃいけない、と思う。省吾は今現在の格好良い姿を見たいし、今の省吾が作る格好良い歌を聴かせて欲しいです。
映画話ついでに最近観たものを書けば、GWに『シン・仮面ライダー』観て来たのでした。こちらもとても面白かった。最新技術を駆使して撮られた《仮面ライダーという偉大なるB級特撮》へのオマージュ。オリジナルのいろいろな楽しさを忠実に抽出した力作でした。