今年2022年にラストアルバムを発表したのは拓郎だけじゃなかった。先月発売の角松敏生の新譜『Inherit The Life』も、角松いわく、これが最後のスタジオ録音のオリジナルアルバムになるそうで。
角松の新譜をちゃんと買うのは、実に『Summer 4 Rhythm』以来です。ずいぶんご無沙汰してましたが、今回は最後ということなので、これは聴いておかねば、と購入しました。

角松敏生の最近のコメントから察すると、年齢的にも自分のキャリアはカウントダウンが始まってる。残り時間にやれることは限られてるのだから、もうオレのやりたいよう好きにやらせてくれ、って感じでしょうか。

だからといって、最後のアルバムなんて、わざわざ宣言する必要あったのかしら、と思ったりもしますけど、そこは角松が言うことですから仕方ない。大人になっても大人気ないのが角松敏生。

チェックしてないので詳しくは知らないのですが、近年の角松は『東京少年少女』のように、演劇と音楽を使った舞台表現に興味が向かっているみたいですね。自分がいま最も楽しいと思う表現にこれから心血を注いでいくのでしょう。
で、せっかくの角松新譜はドライブでがっつり聴こう、と、日曜日に一人で浜松まで車で走って、カーステでガンガン聴いてきました。

アルバムの率直な感想を言えば、悪くない、です。陽光眩しいドライブに気持よく映える格好良い音楽で、ご機嫌な気持ちになれました。

でも、内容としたら、最後のアルバムっていうので期待が大き過ぎたところもあってか、個人的にはやや肩透かし気味でもありました。何も手抜きはないけど、キャリアの中で突出した作品とも思えない、ってくらいの印象。

これって、角松が演出、脚本、音楽監督をやっている『THE DANCE OF LIFE』という舞台のサウンドトラック・アルバムと思って聴けば、なるほど、と思える。インスト曲やインタリュードが曲間にいくつも挟み込まれてたり、途中に角松以外の女性や男性ヴォーカルがガンガン歌ってるのも、サントラだもんね、歌ってるの出演者かな、で納得できます。角松は今これがやりたいのだな、って想いは伝わってきます。

でもやはり、言いたいですね。これ、インストもインタリュードもない方が僕は好き。たとえばインスト云々をdisc2にまとめて、歌ものだけでdisc1としてアルバムを作ってたら印象違ったと思うな。

どのインスト曲もしっかりと格好良い出来だから、あれもこれもと収録して聴かせたいって気持ちは解る。けど、歌を待ってる耳にズッシリこれでもかというインストナンバーは、聴く集中力を挫きます。歌ものは続けて畳み掛けてくれた方が聞き手としたら嬉しい。角松敏生のヴォーカルのファンだからこそ余計にそう思ってしまいます。


僕は正直、『GOLD DIGGER』『Touch And Go』『Before The Daylight』の三枚、プラス『T’s BALLAD』の計四枚あれば 角松敏生は満足、っていう保守ファンです。解凍後をプラスするなら『存在の証明』と『Inkanatio』があればいい。でも角松敏生に、こっちのフィールドの活動の貴方が好きだからそれをやれ、戻ってこい、とは言えないです。過去の再生産をする行動を決して否定はしませんが、表現者がその時に一番興味のある新しいことに夢中になるのはまったく正しく健全だからです。

新しいことに取り組む姿勢を貫いて、それが例えウケがイマイチだとしても、前のめりに倒れるのなら素晴らしいと思う(もちろん角松に倒れて欲しいわけじゃなく、成功して浮上して欲しいですけどね)。

ひょっとしたら角松、今から誰もやらない凄いことをやって、角松敏生が時代の天下を取っちゃうかも知れない。できるのかな。期待はしますけど、角松やってくれるのかしら。ムラッ気多いからな。大人なのに大人気ないのが角松敏生だから。


収録曲について。「It isn't you」の歌詞の女の子、なかなか凄いことを言ってますね。斉藤由貴の「AXIAかなしいことり」の歌詞に負けないくらい、男を愕然とさせる台詞です。こんなこと付き合っている彼女に言われたら、男、立ち直れないですよ。

 

 とりあえず、ひさびさ角松敏生漬け。ラストアルバムはしっかり聴き倒します。

(追記。繰り返し聴くほどに好きになってきました。気分によって1曲目、3曲目のインストは飛ばすことがありますが、総じて歌ものはみんな良いです)



で、角松敏生を大音量で鳴らしながら向かったのは、浜松の老舗中古レコード屋【Sky Children】さんです。残念なことに近日閉店されるそうで、その前に行っておきたかったのです。


店内は常連さんと思しきお客様が先に三人。店長さんと談笑されてました。横で僕はCD棚を物色。どれも安い。

六枚買って計3600円。良い買い物できました。

ハンク・ウィリアムズを初めて買ってみたのは、エルヴィス・コステロが自伝の中であまりにも熱い文章でハンク・ウィリアムズの凄さを語っていたのを読みまして(美しい内容でした)興味を持ったからです。ハンク・ウィリアムズなんて昔の古い音楽ってイメージでしたが、作った名曲の膨大な数からして、只者じゃない凄い人だったのだなと思いました。

そしてなんといっても、ニッティ・グリッティ・ダートバンド。これ、震えるほど格好良かった。僕はカントリーって苦手だったのですが、こーれは凄い。たまらない音ですね。

マルコス・ヴァーリのライブアルバムも素敵でした。トッド・ラングレンのレアアルバムもご機嫌です。夜勤の初日、出金時間まで戦利品を聴き倒してました。耳福です。

浜松へのドライブの帰り道、頭の中で歌が浮かびました。言葉が一言浮かんだきっかけから、ツルツルと最後まで一曲でてきた。もう少し細部は詰めますが、外に出ると良いことがあるものです。



第180回フリーダムフォーク集会
【日時】2022年9月24日(土)
    19時半開演
【場所】ライブカフェ mamselle
袋井市堀越1802-1 TEL 0538-42-6440
http://mamselle.sakura.ne.jp/
【料金】music charge 500円
【出演】
一次会(本編)演奏時間一組20分(転換時間抜き)

・COCORON
・みっこちゃん(初)
・ユンヤオ
・砂風金
・ぷらっとふぉーむ
・きたよし

二次会飛び入りコーナーはお休みです。途中換気休憩を入れます。よろしくおねがいします。



マシス