9月になりました。今月のフリーダムフォーク集会は第四土曜日の24日に開催します。いつもの第三土曜日とお間違えなきよう、ご注意くださいませ。
第180回フリーダムフォーク集会
【日時】2022年9月24日(土)
    19時半開演
【場所】ライブカフェ mamselle
袋井市堀越1802-1 TEL 0538-42-6440
http://mamselle.sakura.ne.jp/
【料金】music charge 500円
【出演】
一次会(本編)演奏時間一組20分(転換時間抜き)

・COCORON
・みっこちゃん(初)
・ユンヤオ
・砂風金
・ぷらっとふぉーむ
・きたよし

二次会飛び入りコーナーはお休みです。途中で換気休憩を入れます。皆さんよろしくおねがいします。


今回、お久しぶりとはじめましての演者さんがいっぱいエントリーしてくださって、とてもとても楽しみです。あの!元アルパカセブンスのみっこちゃんがマムゼルに来てくれます。ユンヤオ、ぶりこら、きたよしさんも、とてもお久しぶりです。皆さんどうぞ体調に気をつけて、9月24日にマムゼルで元気にお会いできますように。


先日、マムゼルのマスターにオススメされていた、ダイアナ・クラールのアルバムを買いました。
『ウォールフラワー』(2015)はジャズシンガー&ピアニストのダイアナ・クラールがポップスの有名曲を集めて唄ったアルバムで、選曲がとってもゴージャスで美味しい。

以前に日記で僕がギルバート・オサリバンのことを書いたら、マムゼルのマスターがダイアナVersionをおすすめしてくれまして、オオ格好良い、と他の曲も聴きたくなり、ネットの中古CDショップを検索してみたのでした。

BOOKOFFのネット在庫を見たら、通常盤とコンプリートセッションズとあって、コンプリートセッションズの方は、通常盤に追加してニール・ヤングの「ハート・オブ・ゴールド」、ジョニ・ミッチェルの「ケイクス・オブ・ユー」他が収録されてる。そりゃコンプリートセッションズ一択でしょう、とポチった(通常盤よりなぜか安かった)。

ダイアナさんは女性にしてはキーが低く、男性のキーの楽曲もほとんどオリジナルのキーで歌ってます。シンプルなアレンジでダイアナさんが淡々と歌うと、よく知ってる曲でも楽曲の良さがくっきりと際立つようで、決して派手ではないけれど、しみじみと良いのです。イーグルスの「言い出せなくて」とかたまらんです。
ダイアナさんはエルヴィス・コステロの奥さまですが、今ちょうどコステロの自伝を読んでいるところで、コステロのアルバムをガーっと聴き返していました。ひとりコステロ祭りです。
自伝はようやく半分まで読めた。あまりにも内容が濃くて面白すぎるこの本、分厚くて先がまだ長いけど、読了したらこれもちゃんと感想を書きたいです。

エルヴィス・コステロの曲はもともと大好きでしたが、実のところここ数年、苦手意識がもたげて聴けなくなってました。コステロの作る決め決めなポップスとあの声に少し食傷してしまってたのですが、コステロひさびさに聴いたら、やはりスゲー良かった。

僕が最初に買ったコステロのアルバムは『スパイク』(1989)でした。社会人になって間もない頃、袋井駅前のCD屋さんでジャケ買いしましたっけ。
このジャケットですよ。この頃はコステロのことなんて何も知らず、当時の新譜コーナーで並んでたこのジャケットで、これってなんか良さそうだ、と冒険してみたら、ドンピシャでした。ジャケットを見て想像した歌声と、実際に聴いた歌声が全くイメージ通りそのまんまだった。

「ゴッズ・コミック」「ミス・マクベス」のように重たい曲も多いアルバムだけど、ポール・マッカートニーとの共作「ヴェロニカ」なんてまさにどストライクで、ジャケ買い大当りでした。

「ヴェロニカ」何回聴いてもご機嫌なナンバーです。

コステロはやはり歌声の魅力がバツグンですね。こんなにポップスと相性の良い声ってなかなかないと思う。あの声で歌えばどんな曲も極上のポップスになりそう。コーラスをしても他の声に埋もれず、突出して前に出て主張してくる、抜けの良さが尋常じゃないヴォーカルです。

すでに世間では《コステロっぽい歌い方》ってものが認知されてる感すらある。ジョー・ジャクソンとかダン・バーンは似てるって絶対言われたでしょうし、映画『すべてをあなたに』の主題歌もモロにコステロっぽかったものね。

この『スパイク』で味を占めて、もっとコステロの他のアルバムを聴きたい!と思って、いざ探すとなったら、これがぜんぜん(当時は)店頭に見つからなかった。で、いくつか地元のお店を回ったら、すみや磐田店で輸入盤の2ndアルバム『ディス・イヤーズ・ガール』(1978)と9th『グッバイ・クルーエルワールド』(1984)を発見。

ちょっと迷って、まずは『ディス・イヤーズ・ガール』の方を購入。
これが大当たり!一曲目の「ノー・アクション」からぶっ飛ばされた。コステロ最高じゃんと思いました。大音量で是非とも聴きたいオープニング!

I don't wanna kiss you ! I don't wanna touch ! !

デビューアルバムが傑作で、続く2ndアルバムがさらに傑作だった、というケースは、ザ・バンドやドアーズと同様に、コステロにも当てはまります。この『ディス・イヤーズ・ガール』こそ僕がコステロの最も聴いたアルバムで、改めていま聴き返してもホントに痛快爽快。人気曲「パンプ・イット・アップ」『チェルシー』収録。

早く次のコステロを!、と後日『グッバイ・クルーエルワールド』も買いました。が、こちらは僕的にはハズレ。「ザ・コメディアンズ」のようなとびきり美しい曲もあったけど(ロイ・オービソンの名唱でも有名)、前の二枚と比べたら通して聴くのがタルくて、今は売っちゃって手元にないです。でも、いま改めて聴いたら印象が違ったかも知れないですね。

次に聴いたのは『マイティ・ライク・ア・ローズ』(1991)。『スパイク』の二年後に出た作品で、これはすぐ飛びついて買いました。
前作『スパイク』と同様に、こちらもかなり聴き込みました。「ジ・アザーサイド・オブ・サマー」大好き。ポールとの共作「ソー・ライク・キャンディ」も入ってます。

余談ですが、ポール・マッカートニーのアルバム『フラワー・イン・ザ・ダート』(1989)と『スパイク』、そしてポールの『オフ・ザ・グラウンド』(1993)と『マイティ・ライク・ア・ローズ』が僕の中でセットで記憶されてます(二人の共作が収録されてるから)。ポールとコステロの相性って良かったんだなってことが伺えて、両方聴くとワクワクしたものでした。

で、少しずつですけど、コステロの過去アルバムがCD屋さんの棚に並ぶようになってきて、次に発見したのは確か『パンチ・ザ・クロック』(1983)と『キング・オブ・アメリカ』(1986)だったと思う。
これを買った当時の感想は《聴きやすっ》でした。今で云うシティポップ的な、やたら良い感じで軽いアルバム、と感じたのですが、いま聴くと当たり前に格好良い。『パンチ・ザ・クロック』は紛れもなく傑作。名曲揃いで捨て曲なし、初めての人に聴かせるコステロ入門編にピッタリの超ご機嫌な一枚です。

ちなみに、布袋寅泰はコステロからの影響をよく公言してましたが、BOØWYの超人気曲のイントロに「レット・ゼム・オール・トーク」からの影響を感じ取れます。


『キング・オブ・アメリカ』は、ザ・コステロ・ショウという変名で出したアコースティックな作品。コステロ迷走期?
コステロのキャリアではあまり目立たない作品?ですが、僕は結構これが好きで、ウォークマンでずっとエンドレスで聴いた思い出がある。アニマルズの「悲しき願い」はオリジナルより先にこのアルバムで知ったっけ。

そして、あまりにも有名なジャケットのデビュー作を、遅まきながらようやくゲット。
コステロといえば多くの人はこの1st『マイ・エイム・イズ・トゥルー』(1977)を挙げるでしょう。僕は後追いで聴いたせいもあってか、他の作品に比べて荒削りな録音だなぁ、と最初は評価がヤヤ低かった。が、これまた今聴き返してみると、すっごく良い(こればっかり)。いまさらですけど1st大好きです。久しぶりに聴いた名曲「アリスン」の歌詞を今でも覚えてて、音に合わせてそらで歌えたのがちょっと嬉しかった。

これ、二枚持ってる理由は、片方はボーナストラックでヒットシングル「ウォッチング・ザ・ディテクティヴス」が入ってるため買い直したのです。


象ジャケットの3rd『アームド・フォーセズ』と、ダメージジャケットの4th『ゲット・ハッピー!!』もマストです。この頃、コステロについて書かれた解説本(タイトル忘れた)を買いまして、その本の著者は、コステロの最高傑作アルバムは『ゲット・ハッピー!!』だと書いてました。そして『アームド・フォーセズ』こそ最もポップなアルバムだとも。

まぁ、最高傑作は人それぞれ意見があるでしょうけど、この二枚の楽しさは今週聴き返して再認識しました。この頃のコステロは正に才気煥発で、マシーンの如く名曲を量産出来たのでしょうね。
『ブルータル・ユース』(1994)は来日ツアーに行ったので、特別思い入れあります(思い入れ抜きでも凄く良いアルバムです)。そう、当時イベントでよくご一緒してたカトウさん、ハヤブサさんと一緒に観たのでした。

ある日、カトウさんが僕に会うなりいきなり

《エルヴィスといえば?!》

と強い口調で聞いてきて、僕は

《コステロ!》

と即答して、《おお合格!》となったのでした。それまで大半の人は《プレスリー!》と答えたそうです。そりゃあ無理もないです。

この話はオチがあって、《そんなキミにコステロの名古屋公演のチケットあるけど、一緒にどう?》とカトウさんに誘われたのですが、僕は

《申し訳無い、実は僕、もうチケット持ってる!》

と、ドヤ顔したという。そう、僕はひとりで行く気満々でチケット取ってたのでした。確かカトウさん達のチケットが14列目で、僕は13列目だった。当日は二人の前の列で、アホなほどノリまくる僕がいましたとさ。

(カトウさんは僕がこれまで出会った中でも最高の歌を作るSSWの一人で、カトウさんとハヤブサさんのコンビの演奏は最高にイカしてました。ずいぶん会ってないけど、お二人ともお元気かしら)

こんな感じで、『スパイク』以降、コステロの新作は出たら必ず買うようにしてましたが、『ザ・デリバリーマン』(2004)あたりでちょっと、コステロって耳が疲れるモウお腹いっぱい、って気分になってしまって、好きなアルバムをいくつか残して、あとはゴッソリ売ってしまったのです(ちょっと後悔してます)。

大好きなテレビシリーズ『スペクタクル』も観返してました。コステロの自伝と同様、コステロの音楽の博識ぶりと豪華ゲストの貴重なコメントがヨダレものにオモチロイ。このファーストシーズンはエルトン・ジョン、ルー・リード、スモーキー・ロビンソンの回がお気に入り。トニー・ベネットや奥様のダイアナの回もよく観ます。

セカンドシーズンでは、ブルース・スプリングスティーンやU2のボノも出たらしいんで、切に国内盤を販売して欲しいですね。


エルヴィス・コステロの曲って、J-POPの作り手に多大な影響を与えてると思います。コステロとJ-POPって絶対に相性良いでしょう。メロディやビートや歌いまわしに、もらいたくなるエッセンスがいっぱいある。僭越ながら僕も、二十代の頃に拙曲「開脚前進」で自分なりの「ヴェロニカ」を作ろうと挑んだことを告白します。その時に学んだのは、コードやメロディやビートといった表層部分、外皮だけ真似ようとしても、作りたいものにならないってことです。

耳から聴いた音楽のエッセンスをしっかり咀嚼して、お腹に一度落として、ある日、内から自然と湧いて出てくるものこそ、それが例え何に似ていても、自分のものって言えるような気がします。僕が鼻歌で歌を作るのを好むのはそこが大きいです。

僕がよく言う大好きな音楽三本柱《とびきり個性的な歌声》《美しくご機嫌なメロディ》《ひねりの効いた歌詞》とは、正にエルヴィス・コステロのことで、コステロを知ったことで生まれた価値観なのです。もちろんオサリバンも当てはまりす。

コステロの音楽はやはり楽しいですね。ひとりコステロ祭りのおかげで、コステロの新しいアルバム『ザ・ボーイ・ネームド・イフ』が今めちゃ気になってます。だって凄く評判いいんですよね。しばらく新譜は追ってなかったけど、ちょっと欲しくなってます。近日フラッと買っちゃいそう。


マシス