映画『ブライアン・ウィルソン約束の旅路』が今月の13日から上映されてると知り、連休のうちに観れたらいいな、と漠然と考えていました。
先月うっかり観逃した『スパークス・ブラザーズ』の無念を思い出して、観ておかないと後悔するだろうなとも思ったし、なにより、ブライアン・ウィルソンの映画を夏休みに、ってのが、まさに夏っぽい。なかなか気の利いた思いつきかと思ったのです。

連休中に家族に聞いてみました。一日だけ、一人で遊びに行っていい?と。すると、どうぞーと言ってもらえたので、よしよしと上映時間を調べたら、もう一日二本しか上映やってない。まだ始まったばかりなのに、これはホントにボヤボヤしてたら打ち切られる?また見逃す?!

で、静岡東宝会館です。今回初めて訪れました。

こういう映画館、すごく懐かしいですね。昨今TOHOシネマズにすっかり慣れてしまってたけど、昔の映画館ってこんなだった。建物に入ってオオ懐かしいと思いました。窓口のお姉さんにお金を払って、上映館の扉の前で、前の映画の観客が観終わって出て来るまで待つのです。

向かいに古本屋があったので、そこで時間を潰してから、上映十分前に四階の会場に行ってみると、ロビーに誰も待ってる人がいない。一番乗りだ、と思いきや、

なんと、だーれもいない。貸し切り状態。

密を避けるもなにも、感染対策もなんも、僕以外に客がいない。こんなん初めてです。上映時間になっても他の人が来ることなく、僕一人のままそっと扉が閉められました。

連休で公開されて五日でこんな状態では、上映回数も減らされますわね。『スパークス・ブラザーズ』もきっとこんな感じだったのだろうなぁ、と複雑な気持ちになりました。映画館も採算が合いませんものね。

僕がもし観に来てなかったら、誰もいないから今日はもうお終いやめやめ、ってなったのかしら。そんなこと考えたら、なんか僕来ちゃってすいませんねって気分になってきた。余計なこと考えず、貸し切りラッキー、と喜ぶことにしました。


肝心の映画の感想ですが、正直、映画としてはそれほど面白くなかった。ストーリーもぼんやりな上に、同じような絵面で淡々と進行するので、途中ちょっと眠くなりました。

ブライアンがインタビューを受けながら、ゆかりの地をドライブで巡るシーンが主なのですが、行ったから別にどうということもない。寄らずにただ通り過ぎるだけだから、ずーっと車中のブライアンの姿が続くのです。運転をするインタビュアーの質問にポツポツと答えるブライアンは、元気そうでしたが、表情の変化は少ないのは相変わらず。

エルトン・ジョンやらブルース・スプリングスティーンといった著名ミュージシャンのコメントがたまに挟み込まれるけど、それも取ってつけたような内容で(ブライアンはいかに偉大かと熱弁するばかり)面白みが少なかった。ドキュメンタリーなのに絵面が乏しいのはコロナ禍を思えば仕方ないのかもしれません。

一般のお客さんが予備知識なしにこの映画を観て、楽しめるのかなって思いましたよ。音楽ファンかブライアンに興味ある人しか面白がれない映画ってのはいかがなものか。流れているブライアンの音楽は当然最高なのですけどね。ビーチボーイズを知らない人が映画を観終わってブライアンのCDを買いたくなるような映画が理想。

しかし、ブライアンのあの表情はどこか他人事に思えないですね。見ていると、自分の弱い部分、嫌な自分が表に浮き上がってくるような、自分の器の小ささを突き付けられるような、面倒臭い気持ちが頭をよぎりました。

おいおい、オレ今、精神状態の良くない発想してる、ってハッとして、いささかヘコんだのです。映画を観てヘコむのも困ったものですが、それも一つのエモーション。

まぁ、現在のブライアンの元気な姿が見れた、ってのは、観て良かった。嬉しかったですね。レコーディング風景もちょこっとだけ見れたけど良かった。今もなお音にこだわって《そうじゃない。こうだ》とミュージシャンに支持するブライアンの姿は格好いいです。こういう近況の映像はもっと見たかった。

印象に残ったシーンは、車中でブライアンがデニスについて回想するところとか。《デニスが一番モテた》と笑いながら、デニスが唯一残したソロアルバムの話になり、インタビュアーは《最高のアルバムだ》と言うと、ブライアンは実はまだ聴いたことがないと言う。で、帰ってから部屋で二人で聴くのです。あれはちょっといい。僕もデニスのソロアルバムは聴いたことがないので、すごく聴きたくなりました。


 

ブライアンの周囲は彼を傷つけないよう、愛情を持って彼を保護しているように見える。その状況は幸せなのかもしれないけど、観ていてなんとなく切ないです。彼の天才があれほど感動的な音楽を産むのも、どこか悲しい。あんなに美しいのに悲しい。この映画は僕にとっては今ひとつでしたけど、興味のある方はぜひ映画館で楽しんできてくださいね。



映画館を出た後は、ビーチボーイズを聴きたくなるでもなく、コンビニでパスタを買って車中で食べて、帰りました。本当は、連休だから一人で外食も考えてたけど、入ろうとしたラーメン屋がたまたま凄く混んでて、結局コンビニのお弁当です。人前でマスクを取らずにご飯を済ませたのは良しとしますよ。感染対策ですもの。


ずいぶん長いこと映画を観るスイッチが切れてたけど、近頃ようやく、ちょこちょこと観るようになってきた。自分時間を使う選択は気分次第なのだけど、選択肢が増えるのは良いものですね。

で、

静岡に出かけたついでに、ジュンク堂書店に寄って、ずっと欲しかった本を手に入れました。棚に有ったら絶対に買おうと心に決めてた一冊。
エルヴィス・コステロの自叙伝です。知ってたけど分厚い。そして価格がお高い。でもまぁ、特に自分の遊びは何もしなかった連休の想い出として、映画とこの本でお小遣いを散財してみました。まだ読み始めの序盤ですが、コステロの音楽の博識ぶりは楽しい楽しい。本の感想は読了したら書きます。


一週間、みっちり家で家族と過ごした連休でした。お盆の法事の他は、親子でお茶したりカラオケ行ったり(娘のリクエスト)、三人で借りてきたDVDを観たり、近所で買い物したり散歩したり、個人的には読みたかった本を読んで作りたかった歌を作って、聴きたかった音楽をたっぷり聴いて、早寝早起きで暴食もせず健康的な休みでした。

休み中に上司から、同僚の一人が感染したので勤務シフトをズレてくれと言われたのはアクシデントでした。日常が急に戻ってきた気分。


来月、9月のフリーダムフォーク集会は第四土曜日、24日の開催です。お間違えなきようご注意くださいませ。
第180回フリーダムフォーク集会
【日時】2022年9月24日(土)
    19時半開演
【場所】ライブカフェ mamselle
袋井市堀越1802-1 TEL 0538-42-6440
http://mamselle.sakura.ne.jp/
【料金】music charge 500円
【出演】
一次会(本編)演奏時間一組20分(転換時間抜き)

・ぶりこら
・みっこちゃん(初)
・ユンヤオ
・砂風金
・ぷらっとふぉーむ

二次会飛び入りコーナーはお休みです。途中換気休憩を入れます。


(エンドウアキラさんと千冬さんはご夫婦で一組ずつエントリーしてくださってましたが、ご都合によりキャンセルされました。ご了承くださいませ)

9月の一次会エントリーのメンツは初めての方と久しぶりの方が多くて、とても刺激的な回になりそうです。遊びに来られる方は僕か出演者、またはお店の方に一報くださいね。


マシス