先週配達された達郎の新譜に続いて、予約していた新譜が昨日無事に届きました。吉田拓郎のラストアルバム『ah-面白かった』です。来週には元春の新譜が来るので、三週連続の新譜ラッシュが続きます。

発売日の前日に聴けたのは嬉しい。
僕は拓郎の00年代のアルバム『午前中に...』と『午後の天気』が大好きで、《午前》《午後》ときたから、じゃあ次は《黄昏》とか、と予想してたけど、外れましたね。ぜんぜん黄昏ていない爽やかなジャケットです。

28日の昼間、夜勤で寝てたけど、気になって気になって目が覚めたので、配達したてのCDの封を開け、早速聴いてみました。
一回目の観賞。
歌詞カードを見ながら通して聴いて、あれ?って。
声もメロディも歌詞もさらりと流れて、特に何も引っ掛からず終了。ガンと胸を打つフレーズはどこ?心に残るフレーズは?と探しつつも、見つけられない。それが第一印象。
収録曲の中でも「TOGETHER」は楽しくて、これはマァ心に残る(名前を呼ばれた人はさぞ嬉しいでしょう)。「Contrast」「アウトロ」「ahー面白かった」はみんな好きだろうなと思いつつも、かゆいところにもう少しって感じ。他は、ああこれが剛のアレンジ?、これが小田和正のコーラスだな、とは思いつつも、
正直、よくわかんない。
ラストアルバムなのに凡作なのか、僕がわからない良さがあるのか?
すぐさま二回目を聴く。今度は拓郎書き下ろしの各曲解説を読みながら集中する。拓郎の文章のあまりの面白さに夢中になって、アルバムがまったく頭に入ってこない。
三回目は一旦ブレイクして、付属の制作ドキュメントDVDを観てみてから聴いた。拓郎のシャウトのシーンはどの部分だ?と確認しつつも、印象はあまり変わらず。
四回目、今度は歌詞カードもライナーも見ずに、耳だけで聴いてみる。耳だけ、が功を為したか、四回目でようやく聴き馴染んできた。歌詞カードで上滑りしてた言葉が、少しずつ音と一緒に腑に落ちてきた。
ここで、夜勤への出勤時間が近づき、再びブレイク。出勤。
翌日帰宅後、寝るばかりの姿勢になって布団に入り、五回目を流す。
一曲目のイントロのギター、拓郎の歌が始まった瞬間に、
いきなりキタ。
!
全てわかった。これか、と思った。二曲目が始まったらもう、尻まで鳥肌が立った。三曲目も四曲目も、《よくわからない》がパタパタとひっくり返って、全曲わかった。拓郎のラジオでの自信はこういうことだったか。
このアルバムを作るにあたって、拓郎が歌う拓郎の紡ぐメロディが、なぜこれを選んだのか、わかった気がした。「雨の中で歌った」の上下するメロディの美しさとか、《あの日に戻りたいー》の《いー》の音とか最高じゃんか。
一回わかってしまえば、あらためて読む歌詞がどの曲も沁みます。「ひとりgo to」なんて、タイトルこそ独り言とgo to travelの駄洒落だけど、詞がいい。各曲解説でのKinKi Kids二人への文章は、もはやラブレターです。「雪さよなら」だけは新曲じゃなくて過去作品のリメイクですが、小田和正がコーラスに来てくれたから、タイトルの「雪」に《さよなら》をくっつけたのかしら?と想像すると楽しい。
要は、どの曲を聴いても《拓郎からの最後のご挨拶》に聞こえるのです。キャンディーズが「微笑み返し」で、山口百恵が「さよならの向こう側」で伝えたことを、拓郎はアルバム通して、まるで暑中見舞いのついでのような気楽さでやってるのが、なんというか、らしいです。
僕はこれで終わるよ、あとはみんなに任せるよ、いろいろあったけど楽しかったね、と。
軽快な歌たちにのせて、こうハッキリと告げる拓郎を目の当たりにして、そんなこと言わないでよーと、ちょっと切なくなりました。
世のコアな拓郎ファンに比べたら、僕なんてぜんぜん若造のエセファンだけど、それでも、最後の拓郎が呟くように吐き出す《あーー面白かった!》のフレーズを聴いたら、泣けますよ。堪らないですよ。
『ahー面白かった』これを書いている今も聴いていますが、購入二日目で、すでに何回聴いてるかわかりません。全9曲、不思議と飽きない。39分のアルバムは短いから何回でも繰り返し聴けるのです。
生々しく、穏やかで、現在の吉田拓郎がまんま真空パックされてます。70歳を過ぎて、これが最後のアルバム、と心して作った歌たちの中に、吉田拓郎その人がいる。
いや、きっとこれまでだって、吉田拓郎の歌って、拓郎の生の姿そのままを写してたのですよね。なるほど、ファンはこういう生の拓郎の姿を感じ取って熱狂してきたのか、と、唐突に、いまさらながら、わかったような気がしました。こういうことだったのか、と。
先週より、カーステでは山下達郎の『Softly』をエンドレスで聴いていて、昨日から部屋で『ahー面白かった』をリピートしています。どちらも初聴きの時よりも、再聴するほどに発見があって、どんどん好きになってきた。
来週はここに、佐野元春の新作『今、何処』が加わります。元春は聴く前から絶対傑作と決まってますので、どれを聴こうか迷う嬉しい夏になりそう。
とりあえず今週末は拓郎と達郎を車につんで、クックハウス椿まで初ドライブします。
以下は告知フライヤー
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マシス

