沢田研二のベストアルバム『ロイヤル・ストレート・フラッシュ』のシリーズ、1980~1996では、シングル「TOKYO」以降のジュリーを楽しめます。

僕はこれ、中古で見つけて手に入れましたが、Disc1はともかく、Disc 2になると知らない曲が多くて、そちらはベスト盤というより新曲のアルバムを聴いてる気分になります。
ジュリーの『ロイヤル・ストレート・フラッシュ』と云えば、一曲目が「カサブランカ・ダンディー」のあの盤を思う人が多いことでしょう。確かに、誰もが知ってるジュリーのヒット曲!ってやつを堪能したい方には、そちらがオススメ(僕も愛聴してます)。でも、僕はこの『1980~1996』をずっと探していました。


Disc 2の一曲目「女神」を僕はずーっと聴きたくて、どうしてもCDで欲しかったからです。
「女神」と、「アリフ・ライラ・ウイ・ライラ」ですね、欲しかったのは。この二曲は確かオリジナルアルバムに収録されてなくて、ベストでしか手に入らないみたいです。

「女神」といえば、ソバージュの髪を揺らして歌うジュリーですよ。衣装はマイケルっぽいですね。サビの《ジュテーム》の叫びの色っぽいこと。

僕は最初、この歌のタイトルを「ジュテーム」と思い込んでいまして、沢田研二ジュテームで検索してもなかなかたどり着けなかった。で、ようやくタイトルがジュテームじゃなく「女神」だと知った時、作曲者クレジットに佐藤隆の名を見つけて、とても驚いたのです。えー、これ佐藤隆が作ったのか!と。

佐藤隆、と聞けばすぐ、高橋真梨子の「桃色吐息」の作曲者だ、と思い出す人は多いでしょう。本人もシンガーソングライターとして歌を何曲も発表しています。

髭の風貌のせいか、歌ってる姿はちょっと柳ジョージっぽい?


佐藤隆という人は、作る曲に物凄くクセがありまして、どの曲を聴いても佐藤隆の匂いがプンプンする。曲聴けばすーぐ佐藤隆だ、とわかる。それほどにアクの強い、いわば、記名性の高いメロディを作る方です。

佐藤隆本人の最大のヒット曲「マイクラシック」を夜ヒットで歌ってたのをテレビで観てた記憶がある。


佐藤隆作曲で「桃色吐息」に次ぐ知名度の歌といえば、中森明菜の「アルマージ」でしょうか。


堺正章の「二十三夜」も佐藤隆の曲です。

どの曲を聴いても、サビ頭でドーンとエスニックにネットリ歌い出す。ああ、佐藤隆ってこういう曲を作る人ね、ってすぐわかる。

僕は実は、佐藤隆とても苦手でした。どれも一緒じゃん!って、当時は思っちゃったのですね。佐藤隆の名を見つけるとつい嫌な顔するほどに。佐藤隆臭?がプンプンして、聴くたびにまたこれかよ!って思ってた。

今にして考えると、あーこの人っぽいね、って思わせる曲を作れることって、実は凄い才能なのですね。それだけ個性が確立されちゃってるのだから。もう、これが好きになっちゃった人は、佐藤隆の代わりになれる作曲家っていないでしょ。かけがえのないってことで、それって凄くうらやましい。


ジュリーの「女神」に話を戻すと、「女神」は「桃色吐息」タイプのサビ頭で始まる黄金パターンから外れてます。だからかも知れないけど、佐藤隆なのに佐藤隆っぽさがやや薄い。だから、まさか佐藤隆の曲なの?と思ったわけですが。

《ジュテーム》と叫ぶジュリーの歌唱は、佐藤隆の個性を自分の個性にグイと引き寄せ、俺の見せ場だと見事に見栄を切ってる。この二つの個性の共演は大成功してると思います。


ちなみに、佐藤隆のソロ曲の中では、僕は「カルメン」が好きでした。サビ頭ドーンでエスニックにネットリ、これこそ佐藤隆ってメロディ。昔はイヤだったけど、今では結構ファンになってきた。これらの佐藤隆臭がプンプンするメロディをたっぷり聴いて、佐藤隆中毒になる人がもっと出てきても面白いと思いますね。


僕も、佐藤隆までアクが強くなくとも、自分の歌を聴いた人が《ああマシスの曲だ》と気づいてくれるくらいの個性が欲しいと、いつも願ってやみません。ああ佐藤隆うらやましい。


雨がシトシト日曜日、ジュリーの歌の染み入る。


マシス