似鳥鶏の小説《市立高校シリーズ》という文庫本を、ここのところずっと読んでいました。
ブックオフで時々、創元推理文庫の読んだことない100円本を手に取るのですが、ある時、掛川店の棚にこの似鳥鶏がゴソッとあって、何か読みたくなった時のためにちょうどいいや、と、シリーズまとめて買っておいたのです。
安値で本が買えてラッキー、と思ってたけど、こんな風に、なんとなーく安いから買ってみた、って本は、案外すぐに読み出さないもので。似鳥鶏もしばらく枕元に積まれっぱなしでした。
で、ようやく数日前より手を付けまして、最後の一冊「家庭用事件」を昨日、読了しました。どれも面白かった。シリーズ一気読みを楽しませてもらいました。
読んだ本は以下の七冊。
↓
「理由あって冬に出る」
「さよならの次にくる(卒業式編)」
「さよならの次にくる(新学期編)」
「まもなく電車が出現します」
「いわゆる天使の文化祭」
「昨日まで不思議の校舎」
「家庭用事件」
表紙の絵柄から、米澤穂信の「氷菓」シリーズのような学園物ミステリーなのだろうな、と想像してたのですが、確かに「氷菓」と通じる雰囲気もあるけど、ぜんぜん別物でしたね。米澤穂信と比べると、まず、読みにくかった。シリーズ一冊目「理由あって冬に出る」が、いきなりもう、序盤に話が頭に入ってこなくて苦戦しました。
マンガみたいな軽い会話が飛び交ってるのですけど、状況説明のしつこい描写と登場人物たちの会話のテンションに馴染めず、なかなかすんなりと読み進められない。似鳥鶏って読みにくいなー、と思いましたよ。
でも、読み終えた時は、オーやるなぁと感心しました。まさか、こういう余韻で終わるとは思わなかった。さすが創元推理文庫というか、記念すべきシリーズ一冊目、一癖も二癖もある面白本となってました。
主人公の葉山くんの一生懸命な奮闘っぷり、柳瀬さんの元気な愛らしさ、三野くんのヤンチャな男気、伊神さんのエキセントリックな探偵っぷりは、この後のシリーズを通じてどんどん親しめるものになっていきます。キャラクターがどんどん肉付けされていって、読むほどに彼らが好きになってくる。そして内容もテンポ良く面白くなっていくのです。
四作目「まもなく電車が出現します」まではまだ《頑張って》読み進めようとしていました。が、後半の三冊はウソのように読みやすくなった(感じ方には個人差があるでしょうが)。ページをめくるのをやめられない止まらない状態でした。
「いわゆる天使の文化祭」は、頭からとびきり面白い謎が飛び出して、その謎ひとつで一気にラストまで持っていかれた。次の「昨日まで不思議の校舎」はシリーズ集大成。序盤からエンジン全開で途中でスピードが全く落ちることなく、最後のページまで面白いまま駆け抜けてくれました。「家庭用事件」は短編集なのですが、シリーズの登場人物に馴染んだおかげもあってか、これがまた粒ぞろいの外れなし。ラストには短編なのにこれまでの設定をひっくり返すかのビックリな謎解明(カミングアウト?)があって、えーって度肝を抜かれました。
学園ミステリー、というと、殺人事件とかポンポン起こるわけじゃない。この《市立高校シリーズ》も、稀に刑事事件もあるけど、ほとんど謎そのものは日常のちょっとした不可解な出来事、といった話が多いです。だからってこのシリーズを、推理小説として物足りないとか、謎解きが弱い、と評価するのはどうなのか、って僕は思います。
謎解きが弱い云々、ってのは、確かにそれはその通りかもしれませんけど、学園ミステリーって枠組みの中で、登場人物が普通に学校に通ってて、そこで起こる事件の謎解きなんです。金田一少年やコナンのように、行った先で殺人事件にバンバン遭遇するわけじゃない。
ある時は校庭で、ある時は部活の部室で、ある時は文化祭で起こった不思議を、ここまでアクロバットに面白く読ませてくれたら、僕は物足りなくなんてない。存分にご機嫌ですね。
ちなみに、これは特筆しときたい(!)。作者の似鳥鶏は、どの本にも巻末に後書き文章を寄せていますが、これが、読者への嫌がらせかってくらい読みにくい内容なんです。僕には読めません。こんなにも読者を突き放した後書きは世界中探してもないと思う。僕は本でも音楽でも、感想で悪口は書きたくないですが、これは似鳥鶏、絶対にわざとやってます。でなきゃ、どの本にもこれってあり得ないですよ。
おそらくは似鳥鶏、後書きで作者がアレコレ語るのを潔しとせず、書きたいことは本文に書いた後書きはもう内容に触れたくないもんね、って思ってふざけてるか、単に、地の文を書いて自分を晒すのが照れくさいか、書きたくないけど担当者に《書け書け》と強要されて、嫌がらせでこんな風に書いてる、とか邪推してしまいますよ。
まぁ、この後書きの文章を読んでもらえたら、シリーズ最初の方で僕がどれだけ読むのに苦労したか、なんとなくわかってもらえるんじゃないかしら。こういう文章も書ける作者なんです。この文をちょこちょこ物語に挟まれたら、そりゃあ読みにくいったらない。
実は、このシリーズを読んでる途中、今年、シリーズ新刊が出たんです。
シリーズ新刊、まだ買ってないのですが、近いうちに読むかもしれません。すでに僕は葉山くんや柳瀬さん達に会いたくて仕方ないですよ。
余談。親父が犬の散歩してる時、道でアケビを採ってきました。
うちの誰も食べないというので、僕がぜんぶ頂きました。種を捨てるのが面倒だったので、庭で食べて、種はペッぺと土に還しました。ほんのり甘くて美味しいものでした。
そのうち芽が出て庭がアケビの森になったら、アケビ農家をやる(ウソ)。
これまた余談ですが、アケビっていうと、藤子不二雄Fの「T.Pぼん」ってマンガの一巻で、主人公が山でアケビを採って食べるシーンがあったのを思い出します。何気なく描かれてますが、野に咲いたアケビを躊躇わず採って食べる主人公の姿は、藤子不二雄F先生が子供の頃にそうやって食べてたんだろうな、と思わされるものでした。
今の子供ってアケビを見つけられるのかしら。
マシス

