学生の頃、音楽好きな友人が《歌のない音楽》いわゆるインスト音楽を聴いていて、おおコイツ大人だなーと思ったものでした。当時カシオペアとかスクエアとか流行ってたのです。

僕はずっとヴォーカルもの、歌詞のある歌が好きだったので、坂本龍一やYMOを聴いている友人がとても大人に見えて、一緒にいて影響受けました(喜多郎のコンサートも連れてかれた)。

スクエアとかそいつらに借りて聴いてましたよ。今思えばあれは歌のないJ-POPみたいなもので、僕でも取っつき易かった。メロディを鼻歌で一緒に歌いたくなるインスト音楽でした。

(インスト曲って、最初は聞き所が分からなくて、つい、どの楽器がメインヴォーカルに当たるんだろう?と考えるんです。まだ、楽器のアンサンブルとか、演奏テクニックの凄さとかぜんぜん分かってなかった頃で、主旋律ばかりを耳が追いかけてました)

スクエアの場合、伊東たけしのサックスがドンと真ん中にいたので分かり易かった。けど、そのせいでスクエアは《伊東たけしwithバックバンド》みたいな認識をしちゃって(スミマセン)。

クールファイブだと前川清しか知らず、内山田洋の顔も覚えられなかった僕は、安藤まさひろのギターに当時は耳を向けられなかったですね。


でも僕はスクエアのメロディ、安藤まさひろの作る楽曲には影響受けていると思います。歌詞がないのに、メロディだけでここまで説得力あるってどういう秘密があるのか、と、当時スクエアのアイデアを真似た曲をいくつか作りました。どの曲とは言いませんが、今でも僕が歌ってる歌もあったりします。

思い出せば、夜のヒットスタジオで「prime」を演奏したのもリアルタイムで観てたっけ。「prime」が入ってるアルバム『resort』はよく聴いてた。一曲目の「omens of love」をエレクトーンで弾くコがクラスにいたなぁ。スクエア懐かしい。



自分で最初にお金を出したインスト音楽は、ウェス・モンゴメリでした。島田荘司の長編「異邦の騎士」を読んだ影響で、無性に聴いてみたくなったのです。
分かりやすくて聴きやすい。予備知識なしで手に入れたこのCDは大好きになった。《乾いた風が吹き抜ける》と島田荘司が描写した一曲目の「エアジン」はハミングでウエスのギターを全部歌えちゃうくらい聴いた。自分がインストアルバムを楽しめるのが嬉しくて、相当に聴いたアルバムです。


同じく小説「異邦の騎士」の影響で買ったのがリターン・トウ・フォーエバー。小説のタイトルがアルバム『ロマンチック・ウォーリアー(浪漫の騎士)』のモジリでもあります。ああチック。RIP。
チック・コリアは最初取っつき難くて手強かった。アドリブが多くて主旋律がわかんないから。『浪漫の騎士』よりも、二枚組のアンソロジー(ベスト盤)から攻略しました。
攻略のきっかけになったのはレニー・ホワイトのドラム。ドラムが《俺俺俺》と自己主張してる(ように聴こえた)。その手数の多さ、暴れっぷりが小気味良く痛快でカッコ良いなと思いました。
(今聴くとずいぶんエレガントに聴こえますね)

僕はこういう音楽そのものに免疫がなかったから、何これ?チックじゃなくバックバンドに見せ場が盛り沢山ってどうよ?と本当にビックリしたのです。

ああバックとかメインとか関係なく、バンドってのはこういう楽しみ方もあるのか、と、認識も新たに目から鱗でした。


インストものに関しては島田荘司に限らず、書籍からの影響が大きいですね。エッセイとかに出てくるアルバムが気になって、よく買って聴いたりしてました。
スーパーギタートリオも島田荘司のエッセイから。このアルバムもとっても分かりやすくてカッコイイ聴きやすい。「地中海の舞踏」最高。《めくるめく、とはこれを言うのだ(島田荘司)》

ノエル・ポインターの『ファンタジア』は山川健一の雨の日の愛聴盤ということを氏のコラムで知って、名古屋のHMVで偶然見つけて《あったー!》と購入。僕も山川健一を真似て、雨の日に車の中でかけてました。

音楽エッセイ、といえば村上春樹です。
ジャンゴのギターとステファングラッペリのバイオリンには相当楽しませてもらいました。『ジャンゴロジー』に留まらず、村上春樹にはホント何枚買わされたことか。

『イン・ア・サイレント・ウェイ』はピーター・バラカンの著書で知って興味を持ちました。長い曲が不思議と聴けちゃう不思議。


インストで近年ですと、上原ひろみのこのアルバムは気に入っています。浜松出身の上原ひろみさんはいつも気になる存在です。
このアルバムの前に作った上原ひろみトリオの四部作は全部買った。とても格好良くて好きでした。チック・コリアの訃報に上原ひろみさんもさぞ胸を痛めていることでしょう。


今でも僕は歌ものが好きで、普段はインストって聴くことが少ないですが、インストも将来もっと楽しめるようになりたい。クラシックとかジャズとか、歌ものじゃ味わない喜びが僕にも理解できるようになったら、今後の音楽ライフがすっごい楽しくなるに違いないのです。


マシス