二週間前に受けそびれた人間ドックを受診することができました。当日の朝は気分良好で、今回は体調不良で帰されることもなく、無事に受けてこられました。

検診結果を見ながらお医者さんより、ひとつふたつ数値で気をつけましょうねって言われたけど、問題は無いでしょう、とのこと。良かった良かった。

初体験の胃カメラは苦しかった。けど、苦しさも想像した範疇で、こんなものだよねって我慢できました。モニターで自分の腹の中を見ながら先生と話すのは奇妙な気分です。胃カメラとバリウム飲むのとどっちがいい?と聞かれたらと迷いますが、次回は心構えがある分、胃カメラでもマァいいやって気になった。

胃の中の赤くなってたところの組織を採ってたので、その診察結果はちょっとおっかないです。なんともないといいですけど。

胃の組織を少し採っていいですか?って、先生にその場で聞かれて、こちらとしてはハイと言うしかない。じゃあ採りますねーって、カメラの先からニュって棒が出て、胃の内側をプチってちぎった。もちろん痛くもなんともないのだけど、実際にちぎるのをモニターで実況されて、おお、ちぎった、血が出た、とか見えちゃって、なんともドキドキしました。

この組織検査が別料金で、なかなか結構な額を取られたのです。支払いに財布の中身が足りるか、会計でドキドキした。正確な受診結果は後日郵送されてくるそうですが、ひとまず終わってホッとしました。


一日人間ドック、検診が終わったのが午前九時半頃、で、午後の診察が一時二十分から。で、それまでの待ち時間が長くて、退屈しのぎに持っていった本をゆっくり読めました。こういう時は未読の本だと頭に入ってこないことが多いから、自分の本棚の在庫よりお気に入りを掴んで再読してたのです。

「生きがいは愛しあうことだけ」早川義夫
早川さんは歌のそれ以上に文章が素晴らしくて、どの本を何度読み返しても面白いです。よく本屋に平積みされている、いわゆる《ハウツー本》というものに僕はあまり興味を持てないけど、早川さんの文章に触れると僕は感化されてしまう。


《歌を作って歌うということはプロポーズと同じである。うまいへたは関係ない。自分の言葉と自分の音で表さない限り、説得力はない。》

《「何を伝えたいのか」と質問されてしまうのは、歌に力がない証拠である》

《他人の醜さが見えてしまうのは、自分もそうだからである》


早川さんが自分に言い聞かせるように呟く言葉は、早川さんがそうありたいという願いであり、僕もそうなれたらと思わされるのです。


一冊で足りないといけないのでもう一冊、結局は両方の本を交互に読んでました。

「ロックで独立する方法」忌野清志郎
数ある清志郎の著書の中で、本書はあまり僕は好きじゃない。内容がつまらないとかじゃなくて、他の清志郎本がより好きすぎるので、比べると本書がすごく薄ぺらに感じてしまうのです。インタビュー起こしの文章だからか。そんな訳で久しぶりに読み返してみたら、人間ドックの待ち時間に読むにはちょうど良かった。


人間ドックと早川義夫本で身体がシャキッとしたあと、車で透湖のCDを聴いてました。
透湖さんがコンテスト【閃光ライオット】の2011年ファイナリストだったということは、検索をして知りました。Facebookでお母様と友達になり、1stCDが出たことを知ってアビーロード浜松にて購入したのです。こういう才能が若い人にいるってことが、本当に面白くて嬉しい。それも、こんな近くにいるなんて。

なんでこのメロディ?どうしてこの言葉?なんでまたこんな音楽を?もう、僕にはこのお嬢さんの思考のメカニズムがまったく追えない。得体が知れなさ過ぎて、これは誉め言葉ですが、素晴らしく気持ち悪い。可愛らしい歌声を聴きながら、ため息と感嘆しかでない。

気持ち悪さ、ってのは、一聴してギョッとしてしまう才能。要は《何、この人?》って思わせる異質感ですね。

崎山蒼志くんにも得体の知れなさ、気持ち悪さは感じるけど、透湖さんのそれはまたちょっと別物です。彼女にとっての普通のベクトルが僕らにはぜんぜん普通じゃないのが素晴らしい。

01の「かわいいあなた」だけは、歌詞も音も分かります。ある意味これがCDで一番人懐っこい曲で、一緒に口ずさめる。他の曲はほぼ無理。歌詞の意味を伝えようって考えは彼女にはそれほど重要じゃないんじゃないかしら。

狙っても絶対こうはなれない。知識や計算なんかじゃこれは決してできないと思う。

あたかも、自分の歌が空気を震わせることがただ心地好くて作った(歌った)としか思えない。それくらい、超絶天然な音世界。こういう若い才能がいるってことは、未来は明るいってことです。

【追記】今朝の静岡新聞に透湖が載ってると同級生が教えてくれました。

僕は普段ならこの手の音楽は聴きつけてなくて、楽しめないことが多いのですけど、この日は早川義夫さんの文章で心が洗われた後だったせいか、透湖CDは何度も聴けた。すごく心地良かった。目の前で歌う姿が想像できました。

彼女は生の演奏をぜひ観てみたいなー、と思ってたら、12月19日に浜松のだいだいというお店で歌うらしい。うーん、残念ながら行けない。行った方は感想を教えてくれると嬉しいです。観たいライブも思うように観れない。コロナ騒ぎが収まったら、いつかきっと。



女性の表現者はみな、やることがスゴい。男は飛ぼうとしても地に足が着いた表現しかできないところ、女性はその気になれば果てしなくどこまでも飛んでっちゃう。透湖さんも、もよぽんさんも、aroさんも、かつらさんも、影野若葉さんも、ニシムラユキさんも、みんな僕の見えないスゴい景色が見えているに違いないのです。うらやましい。

手前味噌ですが、僕も歌を作っている時、僕が見えている景色は多くの人が気づいてないんだろうなって思う時があります。なんでみんなはここを見ないのだろう?と思う反面、こんな素敵なものを僕だけ気づいてるんだ、という優越感もある。