先日の旅行でのこと。都庁の展望デッキ(無料)へ上がった時、エレベーターの扉が開くといきなり、BGMにしては生々しいピアノの音が耳に飛び込んできました。

フロアの中央にピアノが置いてあって、どうやら生演奏をしてる様子。おお、もしかして《空港ピアノ》みたいな、アレか、と、とっさに思いました。

一曲演奏するごとに弾き手が入れ替わって、僕が居たわずかな時間の間にも6~7人の演奏が途切れることなく聴けました。一曲ごとにフロアで休憩している一般客から拍手が起こります。
みんな譜面なしで弾いていくけど、あまりにも演奏が途切れないから、もしかしたら仕込みの演者だったかもしれない。音大の学生さんとかのアルバイトだったりして。
クラシックを弾く人もいれば、「赤いスイートピー」や「手紙~拝啓十五の君へ」みたいなJPOPをインストで聴かせたり、とっても短い不思議な曲を弾いたり(あれはオリジナルだと思う)と、ジャンルはいろいろでした。
もうちょい聴いてたら「戦メリ」弾くやつが出てきそうだな、どうせなら「ラストエンペラー」とか「東風」演ってくんないかな、とか考えながら休憩してました。
一人、「エリーゼのために」を弾いた人がいて、その方は飛び入りっぽかったですね。あの雰囲気の中で、あえてエリーゼを弾くってのがね、すごく《空港ピアノ》っぽい。これは今でも弾けますーって出てきた感じ(とても上手でした)。
《空港ピアノ》ならぬ《都庁ピアノ》は、なかなか短い時間で楽しめました。そう、自分がもしピアノが弾けたら、あの場で何を弾くだろう、と想像しました。何も弾けないから、飛び入りしようもないのですが、何か弾けたらよかった。ピアノを上手に弾ける人がうらやましい。僕もあの空間の一部になってみたかった。

誰もがみな、あの空間の一部になろうとして、自らを作品にするため、ピアノの前に身を踊らせる。美術館の展示物に並ぶごとく、演奏者は代わる代わる音楽という形で作品を置いていく。やってることは大道芸のソレと変わらないのに、都庁という場所で観ると面白いものです。《生きたまま作品になった(「マリーナとウーライ」友部正人)》のフレーズが浮かびました。
もしもピアノが弾けたなら、僕だったら、あの場で何を弾きたいか。
「もしもピアノが弾けたなら」でももちろんいいけど(大好きな歌だし)、あの場であの流れだったら、ぜったい音が跳ねるヤツがいい。あの時ジャズ弾く人が一人もいなかったから、いきなりスイングしたら格好良い。ジャズバラードでもいい。
個人的に、「鉄人28号」をジャージーに弾いたら素敵だとずっと思ってるのです。誰か弾いてくれないかしら。
マシス