七尾旅人の新譜『ストレイ・ドッグス』を後れ馳せながら聴いたら、あまりにも良すぎて、カーステから出せなくなってしまった。足助への行き帰り道中、ずっと聴いていたのです。なんて傑作か。一聴して以来ずっと聴いて一緒に歌いっぱなしです。





頭から四曲の畳み掛けが、もうメロメロ。こんなにも“一緒に歌いたくなる心”をくすぐる新譜アルバムに出会うのって、いつ以来かしら。どの曲もポップで、愛らしい。抱きしめたくなるほどに可愛らしい歌たちです。
もちろん、ただ甘いだけじゃなく、そこは天才七尾旅人ですから、期待通り、ヒンヤリ冷たいシリアスな視点が歌詞にあって、独特の空気がどの歌にも同居してます。そのベタにならない変態感がたまらない。
「迷子犬を探して」はキャラメルママかってくらいウォームなポップス(細野晴臣みたい)だし、「スロウ・スロウ・トレイン」は絶対一緒に歌っちゃう名曲だし、「Almost Blue」はとにかく美しいし、「きみはうつくしい」なんて震えるほど感動的な大作だし、よくもまぁこんな良いアルバムが作れたなって思う。七尾旅人の天才がポップス創作にまともに向かったら、こんな傑作が生まれてしまうのですね。
七尾旅人は、僕はこれまで前々作の『ビリオン・ヴォイシズ』が一番好きだったけど、今作『ストレイ・ドッグス』は早くも一番の座を奪いそう。もし人に七尾旅人を勧めるなら、前作の『リトル・メロディ』も含めて、ここ三作を聴いてもらいたいですね。この三枚ならどれも聴きやすいですし、絶対どれか気に入るのがあると思う。
日曜日、娘と娘の友人を映画館まで送り迎えしたついでに、書店を覗いて文庫本を購入。喫茶店でお茶しながら読んでました。

以前、青崎有吾の「体育館の殺人」の感想を日記に書きましたが、本書は別シリーズ。まだ読み終えてないですが、まあまあ期待通り。
青崎有吾の小説は、ひょっとしたら《読みにくい》《入り込めない》って人がいるかもしれません。ごもっともだと、僕も思う。登場人物の言動、佇まいが強烈で、マンガのキャラみたいに“こんなヤツいねーよ”感が強くて、興醒めに思うところも、確かにある。それでも僕が青崎有吾の本を個人的に気に入ってる理由は、この作家は本当に本格ミステリーを愛してるのだな、ってことが、ストーリーと文章からビシビシ伝わってくるからなのです。
この人、デビュー長編から《読者への挑戦状》を作中の終盤に盛り込んでるのです。読者への挑戦状、、要は、探偵が知り得たすべての証拠は読者も得てるから、解決の章を読む前に犯人を当ててみろ、ってアレです。
海外ではエラリー・クイーンにヴァン・ダイン、日本人では島田荘司や有栖川有栖が《読者への挑戦状》で有名ですが、こういうフェアプレイを今時まともにやってる若手って、青崎有吾しかいないですよ。
《読者への挑戦状》って、作家からすればラストのネタばれ伏線をそれと分からぬように提示しとかにゃならんので、あっと驚く結末を作るのにはリスキーでしかないのです。でも、目の間に証拠を提示されながら気づけなくて、探偵にそれを指摘されて初めて気づいた時の驚きたるや、《やられたー!》ってシビレル。青崎有吾はこの《やられたー!》を作るのがメチャメチャ上手くて、騙される快感に震えるのです。
本書は新シリーズの短編集なので、軽く読める。読者への挑戦状こそないけれど、なんと言うか、どの話もツボを外してない。よーくわかってるじゃん、って。その昔エラリー・クイーンをさんざん読み漁って夢中なった身としては、物足りないところもまだまだあるけれど、こういう青崎有吾の試み、肩に力の入ったヤンチャな文章には愛しくてたまらんモノがあるのです。
とりあえず、今朝の11時半より新元号が発表されるそうで。きっとニュースやSNSは新元号についての話題で溢れかえってしまうことでしょう。だから、僕は新元号の話はとりあえずここでおしまい。僕まで書いてもきっとうっとおしいだろうから。
準夜勤で休んでるところ、選挙カーの声がうるさい。植田まさしの四コママンガじゃないけど、静かにしてくれる候補者にこそ投票したくなる。
マシス