先日のフリーダムフォーク集会でご一緒した楽人さん(フリーダムの重鎮です)は、大変なビートルズファン。毎回、会うとビートルズやポールの話をしてきます。《この間アレ買っちゃった。良いよ!》《ねぇアレ聴いた?》などなど。
僕もビートルズやポールは好きですけど、楽人さんの心酔っぷりには敵いません。するのはビートルズに限らず、音楽全般の話。時には楽器の話だったりオーディオの話だったり、知識というより、楽人さんは音楽の生活への食い込み度合いが尋常でないので、僕はその熱(圧力)にあてられて、おお、へぇー、と相づちを打つのが精一杯だったりします。
土曜日も僕の顔を見るなり、楽人さん、《『エジプト・ステーション』聴いた?》と聞いてきました。

9月7日に発売されたポール・マッカートニーの最新アルバム『エジプト・ステーション』(ケッタイなタイトルです)。ポール76歳、まさかの新譜。楽人さんが飛び付かないわけがない。聴いた聴いた、と僕が答えると、《どう思った?》と畳み掛けてくる。
まだ数回しか聴いてないけれど、僕は傑作だと思う、と答えました。すると楽人さん、《地味じゃない?》《ポールのヴォーカルが荒れてると思わない?》ですって。うーん、あんまり気にならなかった。ライブツアーに明け暮れて少しハスキーになったような、それくらいの印象です。前作の『NEW』よりは楽しい、ってのはふたり共通の意見。
いや、傑作ですよ、と、僕は推しました。これが個人的なネガティブな意見なら強く言うことないけど、良いと思ったのだから、言う。こと楽人さんを前にして、ポールを誉めるんだから遠慮したりしない。
確かに、地味といえば地味。大きなメロディの名曲らしい名曲は入ってないけど、ちょっとしたメロディの跳ねとか、ホーンのフレーズとか、再聴するほどに良くなって聴こえてくる。新しい発見が次々と出てきて飽きないです。
先行シングルの「アイ・ドント・ノウ」とか、確かに地味だけど、これ仮にディランの新曲だとして聴いたら、ディランめちゃめちゃメロディアスな曲作った!って言われると思う。ポールだから聴き手も麻痺しちゃってる。すごく良いのに。
過去のアルバムで例えるなら『ドライビング・レイン』の荒っぽさと『フレミング・パイ』の温もりが同居したイメージか。比べても仕方ないけど、つい連想しました。多くのレビューでは『ケイオス~』を思い出す、との意見も読みましたが、それも分かる気がします。
僕は、このアルバム収録曲を全面に据えたコンサートってのをポールにやってほしい。ホーンが高らかに鳴るあの歌とか、絶対盛り上がりそうですもの。そう思うとポール初来日公演の時の新譜『フラワーズ・イン・ザ・ダート』くらい『エジプト・ステーション』は推してもいい気がします。それくらい、好きになれそうな予感のするアルバムです。
現役ミュージシャン、といっても、新譜を出す、出さないで資質が問われます。ライブ演奏のみならず、新しい作品を発表し続けてこそ本物、だと僕は信じます。
今回のフリーダムで配った瓦版に大急ぎで『エジプト・ステーション』の感想記事を書いたのですけど、そこで僕、ポールの年齢を74歳と誤記しました。正しくはポール、76歳です。失礼しました。
いっそポール、その溢れる資産をもって、永久に生きられる改造手術でも受けてほしいですよ。そしてずっとずっと新作を聴かせてほしいものです
