学生の頃、好きだった教科といえば音楽と美術だったので、中学校で部活を選ぶ時にはブラスバンド部を選択しました。

じゃあ高校ではどうしよう、と思った時、ブラバンは中学で三年間ミッチリやったから、次は美術だなと美術部に入ったのです。

ブラスバンドは文化部のわりに体育会系で、走り込みこそやらされなかったけど、練習が厳しかった。美術部ならのんびり絵を描いていられて楽しかろう、と、ふんだのです。

で、いざ入部した高校の美術部は、上級生は二人だけ。しかもユーレイ部員。美術室に行っても常に一年生しかいないって状況でした。

顧問の先生ですら、週に一度も顔を出さない(自分の絵を描いてる期間はマメに詰めてたけど)。そうなると部室は一年生の天下です。

僕を含む、変わり者の新入部員五人(部外者も大勢)が、放課後に美術室に集まって、毎日好き勝手なことばかりしてました。

マンガを読みふけったり、ウォークマンで音楽を聴いたり、テニス部や卓球部からくすねてきた球を画板で打ち合ったり、音楽室からギターを持ち出して弾いてたり(これは僕。美術室の真上が音楽室で、非常階段でよく往復してた)。

文化祭までに各々が作品を仕上げていれば、普段はあまりにもマイペースという、部活動というには緩すぎる活動でしたけど、これはこれでとびきり楽しい時間でした。

 


一年生部員はいずれも高校で初めて知り合った面子で、クセの強い奴が揃ってました。今思うと、コイツらから受けた影響って結構大きいものがあります。

 

 

前述した通り、美術室にウォークマンを持ち込んだ奴がいたのですけど、スピーカー機能付きだったので、みんなでカセットを持ち寄っては、スピーカーで流して、ワイワイと聴きながら絵を描いていたのです。

 

友人の持ち寄りカセットから僕が知らないアルバムをたくさん教わりまして、良いアルバムが流れたら《何コレ誰これ!?》と皆で大騒ぎ。俺も俺も、とダビングをせがんだのです。角松敏生の『GOLD DIGGER』なんて、我が美術部で大ブームとなったものでした。

 

美術室BGMで知って、後年僕が自分で買ったアルバムがいくつかあります。高橋幸宏の『ONCE A FOOL...』もその一つ。今の時期、寒くなると無性に聴きたくなります。

 

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美術部員の友人の一人にYMOの散開の余熱をモロ食らったヤツがいて、そいつがメンバーのソロアルバムをせっせと美術室に持ち込んでいたのです。

 

僕はYMOはそれほど思い入れはないのですけど、この幸宏さんのソロアルバムは好きでした。他のメンバーのアルバムに比べて、ダントツで聴きやすかった(歌ものですからね)。「冬のシルエット」「仕事を終えたぼくたちは」「素晴らしき幻想」「昆虫記」「Sailor」と好きな歌がいっぱいある。

 

「ONE MORE CHANCE」はサビの部分がCM曲として使われていたので、特に耳馴染みが良かったです。作詞はピーター・バラカン。作曲は幸宏さん。

 

このアルバムを教えてくれた友人は、細野さんが作曲した「昆虫記」について《この曲だけで細野さんの天才がわかる》と語ってた。そういわれると、この不可思議なメロディの曲が僕の耳にも良く聴こえてきて、《天才だねー》と、わかったフリで相槌をうったりしたもので。

(今聴くととてもポップに聴こえます。作詞は吉田美奈子)

 

このアルバムの歌は皆よく鼻歌で口ずさんでいたけど、不思議なことに皆が皆、幸宏さんの歌い方を真似してしまうのです。あれは冷静になって思い返すと、かなり異様な光景だった。《あぁめぇにぃ濡れ出ぁしたァ、夕方の街ィイ》って、全員がやってるんですから。

(作詞は矢野顕子。作曲は幸宏さん)

 

僕が幸宏さんを聴くのはこのアルバムだけですが、今でも僕は幸宏さんのあの独特の歌いクセをつい真似して歌ってしまいます。これはもう、どうしょうもないことです。

 

 

余談ですが、ブライアン・フェリーの歌声を聴いた時、幸宏さんみたいな歌い方するなぁと思ったものでした。影響受けてるんですかね

 

 

マシス